新型コロナを終わらせろ

「いまこそマスクを外すべき」と公衆衛生に詳しい医師…子供の心は悲鳴を上げている

マスク着用は子供たちへの影響が大きい
マスク着用は子供たちへの影響が大きい

 新型コロナの日本上陸が確認されて3年が経過した。その間、新規感染者数や重症者数、死者数などが公表され、主に高齢者や持病がある人へのリスクが数値化され問題提起され続けてきたが、表に出てこなかった問題がある。「心」の問題だ。

 とくに成長期に遊びや食事中などのおしゃべりを制限された子供たちへの影響は大きい。

 実際、国立成育医療研究センターが2020年4月から21年12月までに7回にわたり、子供や保護者を対象に行ったアンケートによると、20年4~5月の時点で3割以上の子供が「集中できない」「すぐにイライラする」といったストレス反応を訴え、21年12月時点では中等度以上のうつ症状がある子供が16%に上った、という。この間、子供の自殺や不登校も増えた。公衆衛生に詳しい岩室紳也医師が言う。

「先日会った男子大学生は大学に入学して3年間、授業もリモートが中心で友達も恋人もできなかった。何のための人生なのか、むなしさだけしか感じない、と話していました。もっと小さい子供たちは、友達といってもマスク姿しか知らず、本心がわからず不安、部活の成果を試す発表の場や大会も取りやめになり生きがいを失った、自分たちの代は修学旅行などの学校行事が中止なのに大人は自由、世の中は不公平だ、などと話しており、子供たちが新型コロナにより分断され、孤独を感じ、世の中へのやり場のない不満をためこんでいる。その悪影響は長期にわたり、予想もできない形で表に出てくるのではないか、と心配しています」

 そんな岩室医師は、「だからこそいますぐにマスクはやめるべき」と言う。

「恐らくはいまも外出時に国民の大半がマスクをつけているのは日本くらいでしょう。にもかかわらず、日本はいま世界で最も新規感染者数の多い国となっています。それは、マスクの意味と正しい使い方を知る医療関係者以外のマスクの着用が感染を広げている可能性をも示しています。そもそも一般の人が着用するマスクは感染者が飛沫(ひまつ)をまき散らしたり、浴びたりするのを防ぐ効果はあっても、オミクロン株感染拡大の主流になっているエアロゾル感染や、落下したり付着した飛沫やエアロゾルが、指を介して食べ物やマスクに付着して感染することの予防には役立ちません。感染リスクが高い高齢者、持病がある人、その周囲の人の着用を除いては、近距離で顔を近づけた会話を避けられない介護などの場面以外では、積極的にマスクを外すべきです」

 マスクにしてもワクチンにしても、感染する速度を遅らせることはできても感染自体を止めることはできない。むしろ、新型コロナウイルスの毒性が弱まり、無症状感染者の割合が高まった時点では感染による免疫獲得の方が感染拡大や重症化を抑え込めることを、いまの世界の感染状況が物語っている。

 実際、世界のワクチン累計接種回数でみると、日本は中国、インド、米国、ブラジル、インドネシアに次いで6番目に多い。1月13日現在、多い人で新型コロナワクチンの5回目接種を終えている。新型コロナワクチンの1回目は81.4%、2回目は80.4%、3回目は67.8%、オミクロン株対応ワクチンは国民の37.8%が接種している。にもかかわらず、1日の新型コロナの死者数は更新を続けている。

 専門家とは利害関係がある人の別称である。時に専門家は自分の存在を業界にアピールするためだけに発言する。日本は新型コロナ対策を感染症の狭い分野の専門家に任せ過ぎたことで、多くのことが見えなくなっているのではないか。

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