肩甲骨と背骨の間、肩甲骨の際あたりに、膏肓(こうこう)というツボがあります。これが、肩や背中の凝りにお勧めです。凝り以外にも、さまざまな症状に対してよく用いられ、中国・唐の時代の医学書に「あらゆる症状に効くツボ」と書かれているほどです。
ところで、膏肓という言葉は「病膏肓に入る」という故事成語でも知られています。その来源は中国の春秋時代、紀元前770年から紀元前403年の歴史を記した書「春秋左氏伝」にあります。
晋の景公が重病にかかったとき、他国から名医が派遣された。その名医の到着前に景公は夢を見た。その夢とは、2人の子どもの姿になった病気が名医から逃れるために肓の上、膏の下に隠れる、というもの。膏は心臓の下部、肓は横隔膜の上部と言われていて、体の奥深いところ。名医が到着して景公を診察すると「病が肓の上、膏の下に入ってしまっているので治療が届かないため、手の施しようがない」と述べた──。
ちなみにこの肩甲骨の内側には譩譆(いき)というツボがあり、「あ~ぁ」という声が出るほど気持ちがよいという意味を持っています。
東洋医学を正しく知って不調改善
肩や背中の凝りに効くツボは? 「膏肓」はあらゆる症状に効く
そもそもこの肩甲骨の内側はとても凝りやすく、ほぐれづらい場所。そのために日頃から家庭内でのケアをしておきたいところです。
大きく腕を動かすことも有効ですし、肩甲骨の内側の押すと気持ちがよい場所や響く場所をご自分で探し、やさしく丁寧に押したり揉んだりするとよいでしょう。
もしもご自分の手が届かない場合は、あおむけに寝て、テニスボールなどを肩甲骨の内側に当たるように置くのもひとつの方法です。でもその場合には、横になる場所を布団やベッドの上にするなどして、刺激が強くなり過ぎないように注意が必要です。
また、市販の家庭用のお灸を据えることも効果的です。それでもほぐれづらい場合は鍼灸院でのケアもお勧めします。