令和のメガネ生活はどう変わる? 眼鏡作製技能士1級取得者に聞く

パリミキ越谷店店長の田中裕一さん(提供写真)
パリミキ越谷店店長の田中裕一さん(提供写真)

 今年は、卯年。ウサギは跳びはねることから飛躍の年ともいわれる。そんな成長が期待される年だからこそ足をすくわれないように注意深く堅実に、ミスのないように物事を進めたい。だからこそ新年は新しいメガネで迎えたいという人も多いのではないか? では、クッキリ、ハッキリ見えて、かけ続けても疲れにくいメガネを作るにはどんなメガネ店で作ったらいいのか? ヒントになるのは、昨年、第1期合格者が誕生した眼鏡業界初の国家資格「眼鏡作製技能士」が在籍するメガネ店だ。

「お客さまからの安心感が増したことを肌で感じます。私自身も自信を持ってメガネについてお話しできるようになりました。今後、知識・情報をさらに集積してお客さまの期待に応えたい、というモチベーションのアップにもつながっています」というのはパリミキ越谷店店長の田中裕一郎さんだ。

 田中さんは昨年11月16日に発表された眼鏡作製技能士1級の資格を持つ。それ以前は民間資格の認定眼鏡士SS級を取得していた。

「眼鏡作製技能士資格は誕生したばかりで一般的にはまだ知名度は低いのですが、眼科専門医の先生方はその存在を把握されています。国が認定した資格を持っているということで、メガネに関する信頼感が増し、今後はより深くて広い連携ができると感じています」

 たとえば、メガネ店ではメガネを作るために視力測定が許されているが、その過程で目の病気が疑われることがある。その場合、メガネ店では眼科専門医のいる医療機関などを紹介するが、資格のないメガネ店からの連絡よりも国家資格取得者からの連絡の方が眼科専門医の信頼があり、よりスムーズに顧客の目の問題を解決できるようになる、という。

「逆に眼科専門医の先生から、『この患者さんは視力が出ないため目の病気を疑って来院されたが、メガネが合っていないようだ。正しい矯正をして欲しい』と依頼されることもあります。その場合も資格を持っているか、持っていないか、では大きな違いがあると思います」

 つまり、眼鏡作製技能士資格が誕生したことでメガネ利用者はこれまで以上に目の健康が守られやすくなるということだ。

■業界ナンバーワンの703人が資格取得

 眼鏡作製技能士資格には1級と2級がある。1級は眼鏡市場のトレンドを把握した作製技術・知識だけでなく、コンプライアンス、眼科専門医との連携に関する十分な知識を持ち、他の眼鏡作製従事者の指導や育成も可能な、後進の目標となる眼鏡作製技能士を指す。

 2級は眼鏡作製に必要な概略の知識・技能を身につけていて、顧客のニーズをくみ取った適切な眼鏡の提案・作製ができる、業界のベースとなる眼鏡作製技能士を言う。

 近年、さまざまな機能性メガネが登場しているが、その機能を十分発揮させるには、メガネ利用者個々人にピッタリと合わせるフィッティング技術が欠かせない。

「とくにその技術の違いで見え方に差が出やすいのは累進レンズを使ったメガネです。このレンズは『累進多焦点レンズ』とも呼ばれ、一枚のレンズの中でグラデーションのように度数が変化していて、視線を上げ下げするだけで遠くも手元もよく見える仕組みです。老眼が気になる中高年に目が疲れにくく大人気ですが、レンズの性質上フィッティングがしっかりしている必要があります」

 フィッティングの技術は長年の経験か、それを補う教育・知識がなければ身につけるのは難しい。それを一般の人が知るのは難しいが、眼鏡作製技能士資格はメガネ店の店員の力量を知る目安になる。そして眼鏡作製技能士資格を積極的に取得するよう奨励するメガネ店やそれを運営する会社は、少なくともより良いメガネ作りに力を注ごうとしているメガネ店であり会社であるということだろう。

 ちなみに田中さんが所属する㈱パリミキは703人、金鳳堂を含むパリミキグループ全体では746人の眼鏡作製技能士資格取得者が在籍。2024年度までに1200人の資格取得者を目指すという。

 眼鏡作製技能士資格を持つ店員が在籍するメガネ店やその資格の取得に熱心な会社の店頭には、店独自のポスターなどが置かれている。それはあなたにとってふさわしいメガネ店か否かの目安になるかもしれない。

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