健康長寿のカギは腎臓にあり

「タンパク尿が出ている」と言われたら定量検査を受ける

写真はイメージ
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 前回、少し触れた「タンパク尿」。今回はもう少し詳しくお話ししたいと思います。

 腎臓の状態を知るのに、定期的な尿検査は非常に大切。腎臓の機能が低下し異常が出ると、タンパクが尿として体の外に出てしまうことがある。前回そうお話ししましたね。

 タンパクは本来私たちの体に必要なものですから、それが尿とともに体外に排出されているというのは、腎臓機能に何らかのエラーがある可能性があります。

 ですから、「タンパク尿が出ている」という検査結果が出たなら、本当に出ているかどうかを医療機関で確認する。再検査でもタンパク尿が確認されたなら、原因が何かを考える。そして原因を見つけて治療する。タンパク尿が本当に出ている場合は、今後腎機能が悪くなる可能性が高いので介入が必要です。

 タンパク尿の数値には段階があります。健康診断で行われるのは、「定性検査」と呼ばれる尿検査となり、(-)(±)(1+)(2+)(3+)という形で結果を出します。再検査をして(1+)が3カ月以上続くようであれば、たとえこの時点でGFR値が正常値であったとしても、慢性腎臓病(CKD)と診断される可能性があります。

 ただ、定性検査には難点があるんですね。タンパク尿を濃度で見ているので、水分不足などで尿が濃くなっているときに検査をすると、本当は異常じゃなくても異常と検出されてしまうことがある。また、日中動き回ると尿にタンパクが出てしまう体質の人も一部ですが存在します。だから、健康診断などで「タンパク尿が出ている」と指摘された場合、医療機関で改めて再検査を受ける必要があるのです。

 ただ、どの医療機関でもいい、というわけではありません。前述の通り、検診で行われるのは定性検査。再検査では、「定量検査」が望ましい。これは、定性検査と比較して、濃度の影響を受けづらく正しい評価が行えます。ただ、この検査ができるクリニックはまだそう多くないのが実情です。

 ですから再検査の際にはできるだけ「腎臓内科」を探すか、内科でも定量検査を行っているクリニックを探すことをお勧めします。定量検査でタンパク尿が1日で0.5グラムを超えたならば、入院して「腎生検」という組織を取る検査が必要となる場合があります。

 ほかの原因もありますが、基本的にはタンパク尿は腎臓からのSOS。そう覚えておいてもらってもいいと思います。

森維久郎

森維久郎

三重大学医学部卒業。日本腎臓学会専門医。2020年5月、腎臓内科、糖尿病内科、生活習慣病の診療に特化したクリニックを開院。腎臓について伝える情報サイト「腎臓内科ドットコム(https://jinzonaika.com/)」を監修。

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