健康の「素朴な疑問」

起床時に喉や胸に違和感…「バレット食道がん」に気をつけて

朝起きると喉や胸に違和感が…(写真はイメージ)/(C)iStock
朝起きると喉や胸に違和感が…(写真はイメージ)/(C)iStock

【Q】肥満体形の50代男性です。新型コロナでリモートワーク生活が続き、運動不足で過食気味です。最近、朝起きると喉や胸に違和感があります。歯が透き通ったような感じもあり、妻から「あなた、逆流性食道炎じゃないの? 食道がんになったら困るので病院へ行って」と言われます。本当でしょうか?

【A】食道は喉と胃を結ぶ筒状の臓器です。喉に近い方から、頚部食道、胸部食道、腹部食道と呼ばれます。日本人の食道がんは食道の中央付近が多く、次いで下部となります。

 一方、胃の内容物が胃酸とともに逆流して起こる病態を「胃食道逆流症」と言い、症状と粘膜の状態により「逆流性食道炎」と「非びらん性胃食道逆流症」と呼びます。前者は胸やけや胃酸が上がってくるゲップ(呑酸=どんさん)などがあり、食道粘膜にびらんや潰瘍などの病変が見られます。後者は胸やけや呑酸といった症状はあるのに病変が見られないものを言います。お酒やたばこ好きに多く、共通するのは胃酸が食道の粘膜を刺激しているということです。

 食道は胃酸から身を守る仕組みがないので、炎症を起こし、食道下端の扁平上皮が胃粘膜と同じ円柱上皮に置き換わったバレット食道に変わり、「バレット腺がん」になる可能性があります。欧米ではバレット腺がんが食道がんの過半数を占めていますが、日本ではまだ少ないとされています。ただ、増加中ですから注意が必要です。

(弘邦医院・林雅之院長)

関連記事