健康長寿のカギは腎臓にあり

食事でタンパク質を取りすぎたから、タンパク尿が出た?

「エビデンスに基づくCKD診察のガイドイラン 2018」から(提供画像)
「エビデンスに基づくCKD診察のガイドイラン 2018」から(提供画像)

 健康診断などで「タンパク尿が出ている」との検査結果が出た患者さんから、「食事でタンパク質を取り過ぎたせいで、タンパク尿が出ているのですか?」と質問されることがあります。

 タンパク尿は「尿に一定量以上のタンパク質が出てしまっているので、腎臓に異常がある可能性がある」という意味。ですから、食事でタンパク質をたくさん取ったからといって、タンパク尿が出るわけではないんですね。

 なお、タンパクが尿に混じっていると、尿が泡立ち、その泡がなかなか消えないということも。「いつもの尿と違うな」と感じたら、薬局などで売っているタンパク尿の試験紙を購入して自宅で調べてみて、陽性となればクリニックで精密な尿検査を受けてもいいかもしれません。

 自覚症状がないのが慢性腎臓病(CKD)の怖いところ。機能が衰えた腎臓は再生できません。しかし、病気の進行を遅らせることはできる。腎機能の低下が疑われるなら速やかに医療機関を受診し、CKDと診断されたら医師と今後の治療方法などを決めていく必要があります。

 CKDと診断された途端、「人工透析しか治療方法はないんですよね」と早合点する患者さんもいますが、CKDの患者さんで実際透析をしている人は2~3%です。CKDにはステージがあり、軽度の患者さんに人工透析は必要なく、食事制限などの巷で言われる治療が不要もしくはしない方がよいこともあります。

 当クリニックではCKDの重症度分類の表をもとに、どんな治療が必要かなどを説明しています。

森維久郎

森維久郎

三重大学医学部卒業。日本腎臓学会専門医。2020年5月、腎臓内科、糖尿病内科、生活習慣病の診療に特化したクリニックを開院。腎臓について伝える情報サイト「腎臓内科ドットコム(https://jinzonaika.com/)」を監修。

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