やるべきことを先延ばしにしてしまう経験は、程度の差はあれ、誰にでもあると思います。先延ばしをしてしまう傾向は、特に大学生で多いことが知られており、人の性格的な特徴の中でも誠実性と強く関連することが報告されています。
過去の研究では、先延ばしをしがちな人では、メンタルヘルスの悪化、孤独感の増加、生活満足度の低下、心臓病のリスクや不健康な生活習慣との関連が指摘されていました。
そんな中、やるべきことの先延ばしと、健康状態や生活習慣との関連性を評価した研究論文が、米国医師会が発行しているオープンアクセスジャーナルの電子版に2023年1月4日付で掲載されました。
スウェーデンの大学生を対象に行われたこの研究では、3525人(平均24.8歳、女性63%)が解析の対象となりました。やるべきことの先延ばしは、5項目の質問票に対して各1~5点、合計5~25点(点数が高いほど先延ばしをする頻度が高い)のスコアで評価され、メンタルヘルスや体の痛みなどの健康問題や、健康に影響を与える生活習慣との関連性が検討されています。なお、結果に影響し得る、年齢、性別、過去の病状歴、出生地域などの因子について統計的に補正して解析されました。
9カ月にわたる追跡調査の結果、先延ばしスコアの増加と、抑うつや不安、ストレス症状の増加に、統計的にも有意な関連性(相関性)が示されました。また、先延ばしスコアが高くなると、腕の痛みの悪化が27%、睡眠の質の悪化が9%、運動不足が7%、それぞれ統計的にも有意に増加しました。
論文著者らは、「先延ばし行為が大学生に多いことを考慮すると、この結果は学生の健康に対する理解を深める上で重要である」と結論しています。
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