健康の「素朴な疑問」

音楽や読み聞かせをする「胎教」は本当に効果があるのか

(C)Karn Dechphan/iStock

【Q】50代の男性です。娘が妊娠のため里帰りしています。太り過ぎないように運動したり、出産準備のため一生懸命な姿に、わが娘ながら感心しています。ただ、胎教と称して音楽を聞かせたり、絵本の読み聞かせをしているのを見ると、本当に効果があるのかな、と思ってしまいます。どうなのでしょうか?

【A】胎児がそれを喜んでいるかどうかはわかりません。したがって効果があるかどうかは不明です。ただし、胎児が音楽を認識していることはわかっています。たとえば、妊婦にはイヤホンで別の音を聞かせて、妊婦のお腹に近い位置でスピーカーから音を出し、胎児の心拍数や胎動どう変化するかを調べることで胎児が音や音楽を認識しているか、そうでないか調べることができます。

 一般的に妊娠30週前後では強い音に対して胎児の心拍数は30秒くらい後に増加することが報告されています。33週以降では5分間の音楽で心拍数、胎動量ともに増えることがわかっています。ただ、胎児が音楽を音楽として聞いているかはわかりません。妊婦腹壁や胎盤などにより音楽の音はカットされ、音階によっては聞こえなくなる可能性があるからです。

 時々、「妊婦はどんな音楽を聞くのがいいのか」と聞かれることがあります。私は「母親の好きな音楽がいいのでは?」と答えています。妊娠40週くらいのときに妊婦にイヤホンで音楽を聞いてもらうと、胎児の胎動が増えることがわかっていますが、妊婦が好きな音楽だとその数が増えることが報告されています。

(林雅之/弘邦医院院長)

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