健康長寿のカギは腎臓にあり

「ネフローゼ症候群」は足だけでなく顔や目の周りまでむくむ

「血糖値が高い」と診断されたら医師に相談を(写真はイメージ)
「血糖値が高い」と診断されたら医師に相談を(写真はイメージ)

「ネフローゼ症候群」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

 腎臓の病気の一種で、一時的に尿の中に大量のタンパクが出てしまう状態をいいます。名前が印象的なせいか、ドラマで見たり、小説で読んだりして覚える人が多いようで、「ネフローゼ症候群とはどんな病気ですか」と質問されることもたまにあります。

 ネフローゼ症候群は、通常の何十倍もの量のタンパクが尿から排出されてしまう状態。そのせいで、血液中のタンパクが減少し、低タンパク血症になり、体にむくみが現れます。

 むくみというと一般的には足を連想しがちですが、ネフローゼ症候群となった場合は、足だけではなく顔や目の周りまでむくんでしまうことが多い。ほかに、体のだるさや重さを感じることもあり、息苦しさや腹痛などを訴える患者さんも。男性の場合は陰嚢に水がたまることもあります。

 ネフローゼには、若い世代に多い微小変化型ネフローゼ症候群や、糖尿病性腎症が原因のネフローゼ症候群などがあります。微小変化型ネフローゼ症候群の場合は、入院し安静にした状態でステロイドを内服する。それが一般的な治療です。

 一方、糖尿病性腎症が原因のネフローゼ症候群の場合は、長期にわたって血糖管理不良となっているため、腎臓以外にも合併症が考えられます。完治は難しいのですが、投薬などでの治療法があります。

 当クリニックは、腎臓専門医と糖尿病専門医が在籍していることが特徴の生活習慣病クリニックです。なぜ、こういうスタイルを取っているかというと、糖尿病と腎臓病は切っても切れない関係にあるからです。

 すでにご存じかとは思いますが、糖尿病とは血糖が高い状態が持続する病気です。糖尿病になる原因はひとつだけでなく「食べ物」「肥満」「遺伝」「妊娠」などの複数の原因が関わっていることが多い。

「遺伝」についてはすべてではありませんが、ご両親のどちらかが糖尿病の場合は、お子さんも糖尿病になる可能性は低くはありません。

 糖尿病の初期は自覚症状があまりない。そのため健康診断で肥満を指摘されたり、血液検査で「血糖値が高い」という結果が出ても「そのうちに考えよう」と放置しがちです。ですが、長期間放置していると、合併症を引き起こしてしまうことがある。合併症には腎臓病のほかに、網膜症や心筋梗塞、脳卒中などがあります。

「血糖値が高い」と診断されたら、専門医もしくは内科に相談の上、治療を行って血糖をコントロールすることをおすすめします。

森維久郎

森維久郎

三重大学医学部卒業。日本腎臓学会専門医。2020年5月、腎臓内科、糖尿病内科、生活習慣病の診療に特化したクリニックを開院。腎臓について伝える情報サイト「腎臓内科ドットコム(https://jinzonaika.com/)」を監修。

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