役に立つオモシロ医学論文

ノンアルコール飲料の販売比率を高めるとアルコール飲料の購入量が減る?

写真はイメージ
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 健康リスクを高めるような食品の摂取を控えるためには、生活習慣を改めるだけでなく、そのような食品が手軽に入手しづらい環境をつくることも大切です。

 たとえば、スーパーマーケットにおいて目立つ売り場にスナック菓子を配置しないことは、スナック菓子の購入量の減少に関連していることが知られています。

 過度の飲酒もまた、健康リスクを高める原因のひとつです。そんな中、オンラインストアにおけるノンアルコール飲料の販売比率と、アルコール飲料の購入量の関連性を検討した研究論文が、「プロスワン」という科学誌に2023年3月20日付で掲載されました。

 この研究では、オンラインストアで定期的にアルコール飲料を購入している607人(平均38歳)が対象となりました。被験者は、ノンアルコール飲料の販売比率が75%の模擬オンラインストアを利用するグループ、50%の模擬オンラインストアを利用するグループ、25%の模擬オンラインストアを利用するグループの3グループにランダムに振り分けられました。各グループに割り付けられた被験者は、64種類の飲料の中から欲しい飲料を選んでもらい、3つのグループでアルコール飲料の購入量が比較されています。

 解析の結果、アルコール飲料を購入しなかった被験者の割合は、模擬オンラインストアにおけるノンアルコール飲料の販売比率が75%だったグループで13.1%、販売比率が50%だったグループで7.2%、販売比率が25%だったグループで3.4%でした。

 論文著者らは「ノンアルコール飲料の販売比率を増やすと、アルコール飲料の購入量は減る可能性があり、飲酒量を減らすための方法として、アルコール飲料を入手しにくい環境をつくることが有用かもしれない」と結論しています。

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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