役に立つオモシロ医学論文

マスクに感染予防効果はない? 世界的機関「コクラン」が論文公開

岸田首相もマスクを外す?(C)JMPA

 厚労省は、マスクの着用に関して屋外では原則不要、屋内では原則着用を推奨してきました。しかし、令和5年3月13日から、マスクの着用は個人の判断を基本とする方針に変更されました。行政が一律にルールを策定するのではなく、個人の主体的な選択を尊重するというのが方針変更の大きな理由です。

 一方で、感染リスクに対するマスクの有効性を疑問視する声も多く、加えてマスクの感染予防効果を検証した研究データも限られているのが現状でした。そんな中、質の高い医療情報の発信で世界的に定評のあるコクランという非営利団体が、ウイルス感染症に対するマスクの有効性を検討した研究論文を2023年1月30日付で公開しました。

 この研究では、これまでに報告されているマスクの感染予防効果を検討した研究9件分のデータが統合解析されています。新型コロナウイルス感染症のみならず、インフルエンザ感染症など呼吸器(喉や鼻、気管支など)に感染するウイルスが検討対象となりました。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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