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人工肩関節手術の後は以前と同じようにスポーツができる?

写真はイメージ
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 人工肩関節置換術は、損傷を受けた肩関節を人工のものに置き換える手術。手術によって再びできるようになることもあれば、できないままであることもあります。

 長年続けてきたスポーツで関節が損傷した患者さんも少なくなく、そのため「自分がこれまでやってきたスポーツは、できるようになりますか?」との質問もよく受けます。人工肩関節置換術の中でも、近年増えている「リバース型(反転型)人工肩関節置換術」について、術後のスポーツはどうなのか、今回お話ししたいと思います。

 私の経験では、筋力を使うスポーツ、とくにオーバーヘッドスポーツ(野球やバスケット、バレーボール)は難しいですが、筋トレ、ゴルフ、釣りなどは復帰が可能です。

 興味深い研究が2021年、OJSMという雑誌に掲載されました。米ミネソタ州にあるメイヨークリニックの医師が報告したものです。

 それによると、リバース型人工肩関節置換術の手術後では、テニス、バスケットなどの活動性の高いスポーツ復帰率は低いものの、水泳、トレッドミル、自転車、ゴルフなどの復帰率は高い。

 一方、テニス、バスケット、野球など肩を上げて行うスポーツで、完全に復帰した症例はなかったと結論づけています。

 まとめると、人工肩関節手術で元のレベルに完全にスポーツ復帰できるとは限らない。しかし、スポーツが可能となる状態に回復できる見込みはあります。

 スポーツ復帰をあきらめないで、治療を検討していただきたいと思います。

森大祐

森大祐

整形外科全般診療に長年携わる。米国トーマスジェファーソン大学で人工肩関節の臨床研究を行い、2000例超の肩関節手術を経験。現在は京都下鴨病院で肩関節や肘関節、スポーツ障害患者に診療を行う。サイトで整形外科疾患の情報を発信。

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