アフターコロナの健康は「免疫力アップ」で維持する!

 新型コロナウイルスの流行がようやく一段落し、以前のような日常生活が戻りつつある今、医療関係者の間では長期にわたる感染対策が講じられた影響によって生じたある「弊害」が懸念されているという。アフターコロナの今だからこそ気をつけなくてはいけないこととは……。

■懸念される免疫機能の低下

 国立感染症研究所の報告によると、2022年~2023年シーズンのインフルエンザの流行は春以降も収まることがなく、小中学校での集団感染が続いているという。それは全国の医療機関から報告される1週間のインフルエンザ患者数を見ても、昨年末の12月に流行開始の目安とされる数値、1医療機関当たり1人を3年ぶりに超えて以来、普通であれば流行が収束しているはずの5月8日~14日に至っても1.36人と高い数値を示していることからも分かるだろう。

 この点について日頃から乳幼児はもちろん大人の診療に当たっている有明こどもクリニック豊洲院の村上典子院長も、

「そもそも人間の体というのはよくできていて、体内に入ってきたほとんどのウイルスは体が勝手に排除し治してくれる免疫機能が備わっています。ただ、この機能はウイルスが入ってくることで活性化して、より強くなっていくのですが、コロナの感染が続いていた間にはマスクやアルコール消毒でウイルスにさらされる機会が少なかったことから、今、その機能が低下してしまっているのです。インフルエンザももちろんウイルスによって引き起こされる感染症ですから、皆さんの免疫機能が低下している中で迎えるこの冬は、数年ぶりにインフルエンザが大流行するのではないかと私は今から大いに心配しています」

 と不安の色を隠せない様子だ。

有明こどもクリニック豊洲院の村上典子院長
有明こどもクリニック豊洲院の村上典子院長

■「見えるマスク」から「体内マスク」へ

 新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが今年5月8日に2類から5類に移行されたことを受け、今、マスクの着用が個人の判断にゆだねられることとなってマスクを外す人が多くなってきた。そうした中、最近「体内マスク」という言葉をしばしば耳にするようになった。

 先ほどの村上院長のコメントからも分かるようにわれわれ人間にとって免疫機能はとても大事なものだが、人間に備わった体内の免疫機能こそが体内マスクそのものであり、これを強化することができればインフルエンザをはじめとするウイルスによる感染症から体を守ることができるというわけだ。

■質のいい「睡眠」と「食事」で免疫力をアップ!

 体内マスク、すなわち体にもともと備わっている免疫機能は毎日の生活の過ごし方ひとつでその力をアップさせることができるのだという。では、そのためには日頃からどんなことを心掛けたらいいのかを村上院長に聞いてみた。

「まず一番にいえることは毎日しっかりと睡眠を取るということです。人間は無意識のうちに自分で自分を勝手にコントロールしてくれているのですが、その働きを司っているのが自律神経で、早寝早起きをしっかりすると自律神経の機能を高めて免疫力もアップするのです。あと大事なのは食事ですね。全ての栄養素を1日3食バランスよく食べることが大切ですが、その中でも特にビタミンがよく摂れる緑黄色野菜、腸内環境を整えて善玉菌を増やしてくれる納豆やヨーグルト、味噌などの発酵食品を摂取するようにすると免疫力を高めるのに役立ちます」

 長くわれわれを悩ませている新型コロナウイルスの感染拡大だが、今第9波が始まっていると言われているし、もうひとつインフルエンザという厄介な敵もいる。それだけに日頃から免疫力アップを心掛け、体に悪さをするウイルスにしっかりと打ち勝っていきたいものである。

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