医療だけでは幸せになれない

マスクの効果を評価したランダム化比較試験 0.3ポイントでも条件が変われば…

日本はお国柄、比較的にマスク着用に抵抗がない(C)日刊ゲンダイ

 今回はマスクの効果を評価したランダム化比較試験について紹介しよう。ようやく、やっとのことでというか、あるいはすでに読むのをやめてしまった人が多いかもしれないが、やめてしまった人がまた戻ってきてくれることも期待して、話を続けよう。

 まず言っておきたいことは、マスクの効果を評価したランダム化比較試験と言っても、バイアスのうち交絡因子が考慮されたにすぎないし、さらに医学情報のうちでも一部に過ぎないということである。

 マスクの効果について考え判断するためのほんのひとつの情報であって、ランダム化比較試験の結果がすべてではないことを自覚しておくことが、まず重要である。

 新型コロナ感染症についてのランダム化比較試験は多くない。私が探すことができたのは2つに過ぎない。日本での研究はない。デンマークとバングラデシュの研究である。それ以外にもあるかもしれない。新たに見つかればまたこの連載で紹介できるだろうから、今回はとりあえずこのうちデンマークの研究について見てみよう。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

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