患者に聞け

狭心症(1)唐突に左胸にチクチクした痛みが… 思いがけない「疑い」診断

左胸にチクッとハチに刺されたような痛みが…
左胸にチクッとハチに刺されたような痛みが…

 関東圏に住むプログラマーの東海林治郎さん(仮名=68歳)は今年2月、左胸(乳の下)あたりに、唐突にハチにチクッと刺されたような痛みを覚えたという。

「それから1週間ほど経て、再び同じ場所と今度は背中も痛む。日が増すにつれて胸あたりが締め付けられるような圧迫感もありました」

 医療関係の仕事に従事している妻は、「お父さん、それって『狭心症』じゃないの?」と言う。

「狭心症」とはどんな病気か。その病名は聞いたことがあるが、詳細を知らなかった。

 東海林さんはネットで「狭心症」を検索した。

 狭心症とは、心臓を動かしている冠動脈が詰まって狭くなり、十分な酸素や栄養分が届かなくなる病気と解説され、発症するリスクとしてこう記されていた。

 中高年に多く、「高血圧」「肥満」「糖尿病」「高脂血症」「高尿酸血症」「ストレス」「喫煙」「家族歴」等……。

 東海林さんは、「生活習慣病を持つ患者に多いということですが、この通り私は体重が60キロに満たない、やせ形です」と話す。

 喫煙は18歳の頃から1日に20本ほど60歳まで吸い続けていたが、数年前から禁煙している。まさか「狭心症」ではないだろうと思った。が、妻に背中を押された東海林さんは、時々、風邪の治療などで世話になっている自宅近所の病院を訪ねた。

 問診と軽い診察で、「狭心症の疑いがありますね。治療は早い方がいいですよ」と即診断され、専門病院を紹介された。このとき、初めて自分が病気であるとの実感がわき、心臓の病気で治療を受けた身内のことが思い出されたという。

 翌日、自宅から電車で20分ほどの循環器専門の病院に向かった。(つづく)

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