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【カルダモン】消化を促し口臭や酒臭さを消す「スパイスの女王」

カルダモンには消化を促し口臭を消す作用がある
カルダモンには消化を促し口臭を消す作用がある

 カルダモンは古代エジプトで「聖なる香煙」とされ、神殿での祈祷の際に使われたり、古代の権力者が毒殺の危険から身を守るための解毒剤として使われてきました。原産地であるインドでは、コショウを「スパイスの王様」、カルダモンを「スパイスの女王」と呼び、カレー料理に欠かせない重要な成分としています。肉料理やケーキの風味付けにも使われるほか、実を潰さず丸ごと加えたピラフやカレーなどは、お客さまをもてなす料理とされています。

 カルダモンはスパイスとして多くの料理に使用されるだけでなく、お茶として飲まれることもあります。サウジアラビアでは、「ガーワ」と呼ばれるカルダモンコーヒーがおもてなしの飲み物になっています。真ちゅう製のコーヒーポットの口に、割ったカルダモンを数粒詰めて注いだコーヒーはなんとも言えない高貴な風味がします。

 食後のお茶としてもおすすめされる理由は、消化促進の効果があるためです。口の中に入れることで唾液分泌を促進し、胃を刺激して胃液の分泌を促すため、消化を促進します。

 ラットの実験にはなりますが、カルダモンに抗炎症作用や胃潰瘍予防効果があることが報告されています。

 また、カルダモンに含まれるシネオールには口臭やアルコール臭を消す効果があり、さらに衣類などの消臭スプレーとしても利用されています。北欧の国々では口臭予防のために、カルダモンの実を噛みながらお酒を飲む習慣があるそうですよ! 中近東料理においても、肉や魚の臭みを消し、香りをつけるために頻繁に利用されています。

 さらに、香り成分であるα-テルピネオールと1.8-シネオールが気分を落ち着かせ、緊張を解きほぐし、疲れを回復させる効果があることから、カルダモンの香りには精神を安定させる作用もあることが報告されています。

 それだけではありません。高血圧患者20人がカルダモン粉末を1日3グラム(12週間)取った際、高血圧や動脈硬化予防効果が見られたという結果まであるのです。一見、とても地味なスパイスですが、その小さい種子にたくさんの機能的な成分が含まれていることがわかります。

 食後のガムの代わりに、食後のカルダモンを召し上がってみてはいかがでしょうか。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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