今年3月中旬、東海林治郎さん(仮名=68歳)は、自宅近くのクリニックから紹介された循環器の専門病院で「狭心症疑い」の検査を受けた。
検査項目は10通りほどあり、「問診」と「血液検査」を済ませた後は病衣に着替え(レンタル料210円)、まず「心エコー検査」を受けた。超音波(エコー)を体に当て、体内の臓器や血液の流れを測定する検査だ。
続いて「運動負荷試験」。胸に小型心電計を張り付けながら、トレッドミル(コンベヤー状のベルトの上を歩く)、自転車エルゴメーター(スタンド式自転車のペタルをこぐ)などを行う。
こうした検査から1週間ほどたった後、東海林さんは再び循環器の専門病院を訪ねた。“狭心症の疑い”から「狭心症」と診断されるかどうかが決まる最後の検査、「カテーテル検査」を受けるためだ。
「病院の玄関を入るとき、やりたい仕事がまだ残っているし、狭心症でなければいいなと祈りました」
病衣に着替え、カテーテル検査室のベッドに横たわった東海林さんは、局所麻酔を打たれた。局所とはいえ眠くなるのかと構えていたが、麻酔後も周りの声はよく聞こえた。
脚の付け根部分から、スパゲティの太さぐらいあるカテーテルを挿入。心臓(冠動脈)に到達するまでゆっくりと血管を通過する。痛みはなかった。カテーテルから造影剤が注入され、モニター画面に血管内を進む造影剤の動きがリアルタイムで映し出された。冠動脈のどの部分に、どれだけの障害が起きているかを診る検査である。
「冠動脈造影検査」ともいわれるこの検査で、正式に東海林さんの病名が「狭心症」と診断された。
「やっぱり病名は『狭心症』で、担当医師から1週間後に『カテーテル治療をします』と告げられました」 (つづく)
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