本格的な猛暑が到来!「クーラー病」を徹底的に防ぐ6つの方法

エアコンが集中管理になっているオフィスでは特に注意が必要
エアコンが集中管理になっているオフィスでは特に注意が必要

 毎年のように記録的な猛暑に見舞われる中、いまやクーラーは「命を守る生活家電」といっても過言ではない。ただ、体を冷やしすぎて「クーラー病」に悩む人も増えている。特にオフィスで働く人は注意したい。「めじろ内科クリニック」院長の久野伸夫氏に聞いた。

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「クーラー病」とは、長時間クーラーの冷風に当たって体が冷え、全身にあらゆる不調が現れる状態をいう。医学的な病名ではないが、夏になると悩まされる人は多い。自宅よりもオフィスや商業施設など、エアコンの設定温度が低い場所での滞在で起こりやすい。

「面積が広いオフィスの場合、エアコンの設定温度や風向きが集中管理になっているケースが多く、個人で操作ができません。体の冷えは足から始まりますが、長時間寒さを我慢しているとやがて冷えは全身に広がり、自律神経が乱れていくのです」

 体温は自律神経の働きにより一定に保たれている。暑さを感じると、副交感神経が働いて体内の熱を外に逃がそうと血管を拡張して発汗するのに対し、寒さを感じると交感神経が働き、体内から熱が逃げないよう血管は収縮する。クーラーの冷風にさらされた環境で過ごしていると、交感神経優位の状態が続いて自律神経が乱れ、全身の不調を引き起こす。

「体が冷えて交感神経が優位になると、下痢や腹痛のほか、血管の収縮によって血行が悪くなり、頭痛や腰痛、肩こりの症状を引き起こします。日頃からストレスを感じやすい人、睡眠不足の人は自律神経が乱れやすいので注意してください」

 とりわけ高齢者は、加齢に伴い体温調節機能が低下している。気づかないうちに低体温になりやすいので気をつけたい。

 クーラー病を改善・予防するには、とにかく「冷やさない」が基本になる。冷えの症状があれば、①夏場でも厚手の靴下やレッグウオーマー、腹巻きの着用やひざ掛けで体を温める必要がある。

「②サーキュレーターの使用も効果的です。暖かい空気は上部にとどまりやすいので、サーキュレーターを上向きで回しておくと上から下に暖かい空気が流れ、足元の冷えを予防できます」

 また、③温かい麦茶やルイボスティー、さゆといったカフェインレスの飲み物を取るのも有効だ。一方で、コーヒーや紅茶にはカフェインが含まれ、カフェインには交感神経を活性化させ冷えを助長させるリスクがある。飲むなら自律神経に影響がない1~2杯程度にとどめるといい。

■晩酌の酒量に注意

 エアコンの設定温度だけでなく、④室温にも注目したい。

「自律神経が失調しない範囲の室温と外気温の差は5度とされていますが、40度超えが続く近年はそうした環境を維持するのは難しい。まずは温度計で自分の席が適温とされる26~28度に保たれているか確認してください。適温よりも低く、服装や飲み物で対策しても冷えが改善されなければ自律神経が乱れている可能性が高いので、可能であれば冷風が当たりにくい席への移動をお願いするといいでしょう」

 また、⑤日頃の晩酌が自律神経を乱す要因になっている可能性もある。日本酒1合といった少量飲酒であれば、アルコールは2時間程度で代謝されるが、日本酒3合以上の深酒は代謝に時間がかかる。体内にアルコールが残る時間が長くなると、自律神経は乱れやすくなるという。

「アルコールは肝臓で代謝されるとアセトアルデヒドと呼ばれる物質に変化し、これには交感神経を活性化させる働きがあります。代謝している間は交感神経が働き続けるので、晩酌で深酒をすると、本来、副交感神経優位になる睡眠中も交感神経優位の状態が続く。その結果、眠りが浅く睡眠不足になり、寝起きから自律神経が乱れた状態になるのです」

 日頃からお酒を飲む習慣がある人は、クーラー病の症状が現れている間は酒量に注意を払い、たしなむ程度にとどめることが大切だ。

 自律神経の乱れを改善するには⑥入浴を利用すると効果的だという。40度以下のお湯は副交感神経を刺激するといわれ、血管を拡張させて血流が良くなり、冷えや肩こりの症状を和らげる効果が高い。入浴時間はお湯が冷めない10分程度がベストとされているので、温度と時間を守った上で、自律神経の調節に努めたい。

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