「モンタナ州の化石燃料開発は、州憲法で保障されたクリーンな環境で健康な生活を送る権利を侵害している」という判決が、全米で大きな話題になっています。
これはモンタナ州の16人の子供と若者が州政府を訴えていたもの。政府に気候変動対策の強化を要求した訴訟で、原告側が勝訴したのは初めてです。
アメリカは今、バイデン政権の再エネ推進政策のために、全米各地で再エネブームが巻き起こっていますが、同時に化石燃料開発にも多額の投資が行われているのが現状です。
特に石油や石炭産業に依存する保守州では、人間活動による地球温暖化を否定し、経済優先で化石燃料開発を進めているケースが少なくありません。
しかし若者が気候変動対策推進を要求する動きは強く、全米の若者の半数近くが化石燃料使用を一切やめ、再エネのみのエネルギー政策への転換を求めています。
その背景には若者を中心に広がるエコ不安があります。アメリカの若者の9割が気候変動に不安を感じ、5割近くが日常生活で悪影響を受けている、4割が将来子供を持つのをためらっているという数字もあるほどです。こうした不安がエスカレートすると、不眠やうつなどに発展する可能性も指摘されています。
今回モンタナ州で判決を下した判事は「州政府の動きは、原告らに損害と傷害を与える実質的な要因であることが証明されている」と指摘しました。
州当局はこの判決を不服とし控訴するとしています。しかし、この判決が世論に支持され、同様の訴訟が誘発されることを、期待する声も高まっています。
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