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高血圧症の克服(3)30年通った病院が閉院…新たな総合病院で薬が7種類に増えた

「MRI」検査を初めて受診することになった…
「MRI」検査を初めて受診することになった…

 埼玉県入間市に住む早川栄治さん(仮名・69歳=イベント企画会社経営)は、3年前、高血圧症の治療中に少し困ったことが起こった。

 30年近く、家族ぐるみでお世話になっていた自宅近くのクリニックの院長が病死。病院が閉鎖されてしまった。

「2カ月に1回、60日分の降圧剤を処方してくれていた病院がなくなった。じつに都合のよかった先生で、仕事で診察に行けなくても、妻が電話して状況を話すと薬をくれたクリニックでした」(早川さん)

 自宅から自転車で約10分という総合病院に診察を切り替え、高血圧症の治療を継続する。担当医は内科の女性医師で、以前の院長と違い、治療要件にうるさかった。「血圧管理手帳」を渡され、「毎日記録し、来院のときは忘れずに持参すること」と言い渡された。

 何度目かの通院を重ねた昨2022年の2月、早川さんは予想外の症状に襲われる。

「テレビを見ていたとき、テレビが突然ドンと沈んだ。ワァ! 地震だと思ったが、テーブルに置いたコップなどは少しも揺れていない」(早川さん)

 以前、通っていたクリニックの院長に早川さんは、高血圧症は脳梗塞や心筋梗塞になるリスクが高いと言われ、前兆の自覚症状についても詳しく説明されていた。

 不安を抱いた翌日、通院先の総合病院に診察の予約を入れた。内科から診察の窓口が「脳内外科」に替わり、「MRI」(磁気共鳴画像)という重々しい検査を初めて受診することになった。

 モニター画面に映された脳内画像を見ながら、担当医から「脳の血管に4カ所の血栓痕が確認できます。経過観察をしましょう」と診断された。

 以来、降圧剤のほかに、血液の固まりや血管の詰まりを防ぐ「クロピドグレル錠25ミリグラム」、慢性心不全・高血圧の治療薬「エンレスト錠200ミリグラム」、狭心症の発作を予防する「アムロジピンOD錠10ミリグラム」など7種類の薬を処方されたのである。 (つづく)

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