患者に聞け

高血圧症の克服(4)通片道1時間の勤ストレスから解放…1万歩の農道散歩と野菜生活

夕食は季節の野菜をサラダにしてタップリと
夕食は季節の野菜をサラダにしてタップリと

 2022年の秋、イベント企画会社を経営する早川栄治さん(仮名.69歳=埼玉県在住)は、20年間東京都内に借りていた事務所を引き払い、仕事場を入間の自宅に移した。

 早川さんの持病である高血圧症(本能性高血圧)は、「1度高血圧」(収縮期血圧140~159㎜Hg、拡張期血圧90~99㎜Hg)。早川さんは通算20年も続く慢性の高血圧症患者だった。

 医師のすすめで時々、水泳やジョキングで汗を流した。しかしいずれも続かない。しかも愛煙家で禁煙を誓うものの、こちらも長くて3日ともたなかった。

 それでも昨年、脳の血管に4カ所、血栓が見つかった症状に恐怖感を抱き、担当医師にすすめられて運動を真面目に取り組み始めた。幸い、事務所を畳んだ昨年秋以来、朝、夜、片道約1時間余りという自宅からの通勤時間がなくなった。ストレスからの解放である。

 その後はほぼ毎日、この時間を利用し、自宅周辺の農道をコースにして散歩を開始した。息を深く吸い、長く息を吐くという有酸素運動も兼ねた散歩である。スマホのアプリ「歩数計」を励みに、日々、3000歩から1万歩へと次第に距離を延ばした。距離にして4.5キロにあたる。

「快晴の日は、夕方も散歩。加えてもう一点、体質改善の転機になったのは、散歩途中にある農家の野菜直売所を訪ねたことです」(早川さん)

 季節のトマト、タマネギ、キュウリ、大根、ニンジン、ナスなど、新鮮な野菜を買い求めてから帰宅した。夕食では米、ソバ、パン類といった炭水化物類を極力抑え、代わりに毎晩、手作りの生野菜サラダを適当に作り、ウサギのように食べ始めたのである。昨年の秋ごろから真摯に継続していた散歩運動に加えて、豊富な生野菜の摂取が功を成したのか。今年5月ごろから早川さんの血圧が大きな変化を見せることになる。 (つづく)

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