科学が証明!ストレス解消法

デート中、スマホは見えない場所へ…親近感や共感に影響あり

スマホは見えないところへ…
スマホは見えないところへ…

 私たちの生活に欠かすことができないスマートフォン(以下、スマホ)。電話をかける、写真を撮る、情報を調べる──かつては使用できる機能も限られていましたが、どんどん進化を重ね、今ではウォレット機能や編集機能、ヘルスケア機能という具合に生活の中におけるスマホの使用機会は急増しています。

 ブリガムヤング大学のサラ・コインは、テクノロジー機器(コンピューター、携帯電話、スマホ、テレビなど)による日常的な介入を「Technoference(テクノフェレンス)」と呼び、スマホが実生活に及ぼす影響を研究しています。とりわけ恋愛関係におけるテクノロジー機器の使用頻度と機器使用に伴う日常的な中断が、人間関係の幸福度にどのように関係しているかを調査した結果(2016年)は興味深いでしょう。

 この研究は女性を中心に行われ、既婚・同棲をしている143人にオンラインアンケートで回答してもらうというものでした。

 その結果、大多数がカップルの会話や食事の時間などでテクノロジー機器がパートナーとのやりとりを頻繁に妨げていると回答したそうです。さらに人間関係においてテクノロジーへの介入が多いと答えた参加者ほど、人間関係や生活の満足度が低く、精神的に落ち着かないことが多いと報告したことも明らかになりました。

 研究を主導したサラ・コインは、「テクノロジーが恋人との会話や時間を妨害したり中断したりすることによって、対立や否定的な結果につながる可能性がある」と指摘しています。たしかに、せっかくのデートの最中にスマホをいじっていたら、「この人、私といてつまらないの?」と思われてしまいそうですよね。

 また、ワシントンのカフェで100組のカップルを観察した──というユニークな研究では、「テーブルに1台のスマホが置かれている」、あるいは「どちらかがスマホを持っている」という状況にいたカップルは、双方ともに親近感や共感が低下することも分かったといいます。

 テーブルに置かれているだけでも懐疑的にとらえるパートナーがいるわけですから、デートの最中はバッグやポケットにしまうなど目に見えない場所に置いた方が◎。関係性が親密であればあるほどスマホが共感に与えるダメージは大きくなり、大切にされている感覚が低下したともいいます。この結果は、スマホが特別なものではなく、日常的なものになったという何よりの証左ではないでしょうか。

 特別な行為であればパートナーも理解を示すはずです。しかし、スマホがペットボトルの水を飲むことと同じくらい当たり前の行為になったからこそ、「今、それ(スマホ)をいじる必要がある?」と相手は解釈してしまうわけです(水分を補給するのとはワケが違いますからね)。

 スマホの存在は人間関係に干渉する可能性があるということ。デートだけではなく、ビジネスの現場などでも用がないならスマホはしまっておいた方がベター。鳴る・鳴らないの範疇を超え、そこにあるか・ないかで印象が変わることを覚えておいてください。


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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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