テレビやゲーム機器、スマートフォンなどの画面を見ている時間を「スクリーンタイム」と呼びます。スクリーンタイムが長すぎると、頭痛、目の疲れ、集中力の低下など、体に大きな負担がかかります。そのため、子供のスクリーンタイムは、一般的に1時間未満が望ましいとされていました。そんな中、スクリーンタイムの長さと、子供の発達の関連を検討した研究論文が、米国医師会が発行している小児科の専門誌に、2023年8月21日付で掲載されました。
この研究では、宮城県と岩手県にある産科診療所もしくは病院に通院していた母子7097組(子供の51.8%は男児)が対象となりました。子供が1歳の時点で1日あたりのスクリーンタイムが調査され、2歳と4歳の時点における発達の遅れとの関連性が検討されました。
なお、子供の発達はコミュニケーション能力、粗大運動(体を大きく使う動作)、微細運動(手や指先を使った動作)、問題解決能力、個人的・社会的スキル(他の子供たちと遊ぶなどの能力)について、それぞれ0~60点で評価を行い、平均点から2点低い状態を「発達の遅れ」と定義しています。
その結果、1歳時点でスクリーンタイムが1時間未満の子供と比べて、4時間以上だった子供では、コミュニケーション能力における発達の遅れが2歳時点で4.78倍、4歳時点で2.68倍、統計学的にも有意に増加しました。同様に、問題解決能力における発達の遅れは2歳時点で2.67倍、4歳時点で1.91倍、統計学的にも有意に高いことが示されました。
論文著者らは「1歳時のスクリーンタイムの増加は、2歳時と4歳時のコミュニケーション能力や問題解決能力に対する発達の遅れと関連していた」と結論しています。
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