医者も知らない医学の新常識

ビデオゲームで脳が鍛えられる? 米国の医師会関連誌に掲載

写真はイメージ

 コンピューターやスマホを使うビデオゲームは、現代人にとっては欠かせない娯楽となっています。子供から大人まで、ちょっとした時間があれば何かのゲームをしていますし、一部の人にとっては、それがビジネスにもなっています。ただ、成長期の子供がビデオゲームをすることは脳にどのような影響を与えるのでしょうか? 健全な脳の成長に悪影響を与えることはないのでしょうか?

 これはまだ結論が出ていない問題です。相手を攻撃するようなゲームを続けていると、攻撃的で暴力的な性格になるのでは、という考え方があります。実際にそうした研究結果が発表されていることも確かです。その一方で、そうした悪影響はない、という結果も報告されています。

 今年の米医師会関連の医学誌に、米国での調査結果が報告されています。9~10歳の2000人以上の子供を対象として、ビデオゲームをしている時間と脳の機能との関係を検証しました。その結果、ゲームをほとんどしていない子供と比較して、週に21時間以上ゲームをしている子供は、一時的に情報を記憶する能力や決断のために行動を制御する能力が、より優れていることが確認されました。ゲームに使われる脳の機能は、ゲームをすることによって鍛えられることは確かであるようです。運動で筋肉を鍛えるように、脳はゲームで鍛えられるのかもしれません。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

関連記事