アナゴの旬は2回。6~8月のアナゴは脂が少なくさっぱりとした味わいが特徴です。「夏穴子」はかば焼きや天ぷらなどの濃い味付けと相性が良いとされています。
一方、10~12月の「冬穴子」は産卵前ということもあり、脂がたっぷり! ウナギに似た濃厚な味わいを楽しむことができます。白焼きなどアナゴの風味を生かした料理に向いていそうです。国内では長崎県の対馬で取れる「黄金アナゴ」が漁獲量1位を誇ります。兵庫県明石市では夏に「真アナゴ」冬に「伝助アナゴ(クロアナゴ)」が旬を迎えます。島根県や宮城県の松島などでも夏や冬に旬のアナゴが楽しめます。その他にも瀬戸内海沿岸の広島県宮島や兵庫県姫路も有名ですね。
アナゴによく似た魚にウナギがあげられますが、栄養素を比べてみるとなんとアナゴの方がウナギの半分の脂質量! ほかのタンパク質や炭水化物の成分にはあまり大きな差は見られません。脂質量の中身を見ると、蒸しアナゴ100グラムあたり、目の健康などに役立つDHAが510ミリグラムとウナギの半分量になっています。逆に血液をサラサラにしてくれるEPAは760ミリグラムとほぼウナギと同量程度含まれています。とはいっても、1日に必要なDHA・EPAは一番多く必要な50~64歳の場合でも男性2.2グラム、女性1.9グラム、合わせて取りましょうとされています。アナゴを100グラム食べれば1日に必要なDHA・EPAの半分量以上は賄えるので安心してください。
DHA・EPAは朝ごはんで食べると、GLP-1というホルモンを出すことでインスリンを分泌し、体内時計をリセットしてくれる効果があることがわかっています。朝から元気に活動したい方にもピッタリです!
血中中性脂肪値が199ミリグラム/デシリットル未満の健常者にDHA・EPA含有油とオリーブ油を12週間摂取させたところ、DHA・EPA油を摂取したグループの血中中性脂肪値が低下した報告もあります。このような根拠をもとに「中性脂肪を下げる」という機能性を掲げた冬アナゴの加工品も販売されています。
そのほか、目の健康に関わるビタミンAもウナギには及ばないものの、他の魚類と比べたら圧倒的な量が含まれているのでまさに栄養の宝庫です。
脂質が少ない分、エネルギーが抑えられるので、ダイエット中の方にはおすすめの食材といえるでしょう。
時間栄養学と旬の食材