科学が証明!ストレス解消法

空を見上げれば嫉妬心が消える…気持ちの整理がつきやすくなる

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「隣の芝生は青く見える」という言葉があるように、人間は他者が持っているものをうらやんでしまう性質があります。ときにそれは嫉妬へと変わってしまい、自分の感情を乱されてしまうこともあります。人間がストレスフリーで生きていこうとしたとき、どのようにして嫉妬と上手に付き合うかというのは大きなテーマです。

 セルフ・アファメーションという方法があります。この言葉は、「自己肯定」という意味の英語で、効果も実証されている心の整え方なのですが、単に自己を肯定するわけではなく、一定の型に沿って自分のことを語っていく──というアプローチです。さまざまな効果が実証されており、嫉妬心を軽減する効果も報告されているほどです。

 そのひとつに、スタンフォード大学のコーヘンとカリフォルニア大学サンタバーバラ校のシャーマンの研究(2014年)があります。自分について語るとき、自身にとって重要なことを説明すると、より効果的であるとうたっています。たとえば、「歌うことが私の大事なこと。歌は私の情熱であり、人生です。カラオケは自分にとって欠かせない、第二のホームのような存在だし、みんなと歌っているときはとても安心感があって楽しい。友人は仲間であり、私の人生を支えてくれる最高の存在だ」という具合に言葉にしてみる、あるいは紙に書くなどして、自身にとって重要なことを思い返すといいと研究では説明しています。

 方法が研究者によって多少異なるものの、セルフ・アファメーションをする際におおむね一致していることは、病気などのネガティブな内容は書かず、なりたい自分をイメージして、ポジティブな事象のみを書くという点です。そして、できるだけ現在進行形や現在の状態で表すことがポイントです。自分にとって重要かつポジティブなことを確認するだけで、心の負担は軽減されるというのです。

 東京大学の田戸岡らによる、「自己他者概念と上下の運動感覚が、妬みと羨望の生起に及ぼす影響」という研究(16年)も興味深いでしょう。この研究では、何かを「上げる」「下げる」運動をする感覚と、人を「上に見る」「下に見る」感情に関連性があるかについて実験を行っているのですが、「意外にも関連性がある」という驚きの結果が出ています。

 実験では、「自分」や「他人」と書かれたカードの位置を上げる動作と下げる動作を比較しました。その結果、「他人」を上げる動作の場合は、良い妬みと位置づけることができる「羨望」の感情が、「自分」を下げる動作の場合は悪い妬みの象徴ともいえる「嫉妬」の感情が、より目立つ結果になったといいます。

 また、視線を上げながら考えるとポジティブな出来事、視線を下げながら考えるとネガティブな出来事が思い起こされやすいとする研究もあります。嫉妬という感情が湧き出そうなときは、空を見上げてみることも効果的です。気持ちに整理がつきやすくなるはずですよ。



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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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