上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

「旅行」は健康寿命を延ばし、心臓の健康維持にも役立つ

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 コロナ禍がひとまず落ち着いたことで、今年の夏は久しぶりに旅行に出かけたという人も多いのではないでしょうか。近年、「旅行はさまざまな健康効果をもたらす」という研究結果がいくつも発表されていて、心臓の健康維持にとっても大きなプラスになります。

 米国で実施された研究によると、「6年に1回しか旅行をしない女性」と「年に2回以上旅行をする女性」を比較すると、年に2回以上旅行をする女性の方が心臓疾患の発生リスクが大幅に低いという結果が出ました。

 また、日本の研究でもさまざまな病気の予防につながることが分かっています。日本の研究施設が、「旅行前」「旅行中」「帰宅後」に、旅行者の血圧、ホルモン値、脳波などのデータを計測したところ、旅行者は、前日から幸福感や充実感が高まり、帰宅後2日目に最高値に達していました。これは「ピクニック効果」と呼ばれるもので、心臓にとって大敵となるストレスホルモン「コルチゾール」の分泌を減らします。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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