「医食同源」または「薬食同源」といった言葉をご存じの方も多いかと思います。ともに漢方医学にまつわる用語で、食べるものと薬になるものの源は同じだという意味になり、それに基づいた食事療法を「薬膳」といいます。
「夏バテ防止にウナギや山芋のとろろご飯を食べるといい」とはよくいわれる話。これがまさに薬膳です。何も特別なものを食べることを指すのではない。身近な食材で体の不調を整えようという考えです。
薬膳を実践する上でぜひ押さえておきたいのが、その食べ物が体を冷やすものか、温めるものか。漢方医学では「寒・涼」と「温・熱」の4つの性質に大別し、これらを「四気」と呼んでいます。冷やす方でも温める方でもないものもあり、これらは「平」または「平性」といいます。
温める食べ物の代表としては、ネギ、ニラ、ニンニク、ショウガ、シナモン、羊肉(ラムかマトン)。
冷やす食べ物の代表は、ニガウリ、ナス、キュウリ、ナシ、スイカ。
一般的には秋冬の野菜や果物は温めるものが多く、春夏の野菜や果物は冷ますものが多い。旬の取れたての野菜や果物を食べることが理にかない、体に良いでしょう。
東洋医学を正しく知って不調改善
薬膳の基礎知識…「医食同源」「薬食同源」に基づいた食事療法
さらに人間の体質も、寒体質、熱体質、そのどちらでもない真ん中の3種類に大別できます。寒体質の人は寒がりで、寒さや冷えに敏感、手足がいつも冷たく全身が冷えがち。一方、熱体質の人は暑さや暖かさに敏感で、手足がいつも温かくて全身がほてりやすく、汗もかきやすい。真ん中体質の人はそのどちらでもなく、寒・暖のバランスが取れた体質です。
ご自分の体質を分かった上で、それに合わせて上手に食べることが体質改善や未病につながります。それが薬膳の神髄。寒体質の人は体を温める食材を、熱体質の人は体を冷ます食材を積極的に取るようにすれば冷えや暑がりの改善ができるのです。
ただ、何事も過剰は禁物。また、調理の仕方、食材の組み合わせなどによってその性質は変わります。ですから専門家以外の人に向けた簡易な紹介本などを参考に、薬膳を日常生活に取り入れ、元気な毎日を過ごしてください。