東洋医学を正しく知って不調改善

東洋医学の「刮痧(かつさ)療法」とはどんなものなのか?

(C)日刊ゲンダイ

 刮痧療法は、2000年以上歴史のある中国の民間療法で、現在では東洋医学における治療法のひとつとされています。さらに、美容にもいいことから最近はエステサロンでも取り入れるところが出てきています。ちなみに「刮(グア)」は「けずる」という動作、「痧(シャ)」は皮膚表面に現れる赤みを表します。

 刮痧療法では鍼は使いません。丸みを帯びた小さなへらのような器具(プレート)で皮膚の上から経絡や反射区をこすります。それによって深部に滞った血液(瘀血=滞った血液や老廃物)を表面に引き上げ、気、血(エネルギーのようなもの)を調整し、エネルギーの通り道である経絡の流れを整えるのです。いわば東洋医学的デトックスですね。

 小さなお子さんや鍼が苦手な方にも対応でき、ホームケアとしても気軽に行えます。プレートの素材は水牛の角、天然石、陶器、プラスチック、ステンレス、木製とさまざま。形も施術する体の場所で異なります。例えば、全身に使用できる「魚形・羽形」、主に頭皮に使う「くし形」、フェースラインや頬、目頭などのくぼみに使用できる「眉形」、背中や太ももなどの広い面に適した「長方形」などです。プレートは100円ショップなどでも購入できます。

 使い方としては、天然石以外は両手で10秒ほど温め、オイルを肌に塗布してからプレートでこすります。強さは痛気持ちよいぐらい。肌に赤みが浮き出ることもありますが、数日で改善します。もし同じ強さで赤みが強く出る場所があれば、そこは瘀血が豊富か、毒素がたまっている部分です。

 最後に、小顔効果、浮腫解消、肌のトーンアップ、血行促進など美容効果のある顔のこすり方をご紹介しましょう。

 最初に顎から耳たぶの前へ流します。それから口角から耳の前へ。次に鼻の脇から耳の前へ行ってから、眉頭からこめかみへ行って、額は眉上から生え際にかけて流します。最後に耳たぶの後ろにあるくぼみから鎖骨に向け流して終了です。1つの部位をそれぞれ3回ほど流すと効果的です。赤みが出ないよう、優しくなでるようにプレートを当ててください。

中根わたる

中根わたる

日本医学柔整鍼灸専門学校教員、はり師、きゅう師。

関連記事