正月明けに急増する! 脂肪肝が気になる人は「FIB-4 index」の利用を

写真はイメージ
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 新年がスタートしたばかりだというのに体がだるくて元気が出ない。そんな人は、お正月の食べて飲んで寝る怠惰な生活で、肝臓に脂肪がたまる「脂肪肝」になっているのかもしれない。糖尿病専門医で「しんクリニック」(東京・蒲田)の辛浩基院長に話を聞いた。

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 脂肪肝は、ウイルス性肝炎以外の肝臓病の代表格。肝臓を構成する肝細胞には糖質を中性脂肪に変えて蓄える性質がある。

 運動などで適切に消費できればいいが、糖質や脂質の過剰摂取で中性脂肪がたまり過ぎると、脂肪肝になる。

「脂肪肝は肝細胞の5%以上に脂肪がたまっている状態を言います。脂肪肝が怖いのは、放っておくと肝臓が肝炎から肝臓の細胞が線維化してその機能を失う肝線維症となり、やがて肝硬変や肝がんといった命に関わる病気に進行してしまうことです」

 脂肪肝には過剰な飲酒が原因のアルコール性脂肪肝と、それ以外が原因の非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)がある。

「NAFLDの患者数は推定1000万人以上といわれ、その80~90%は病態が進行することが比較的少ない『非アルコール性脂肪肝(NAFL)』で、残り10~20%は肝硬変や肝がんに進行することのある『非アルコール性脂肪肝炎(NASH)』といわれています。かつては肝硬変や肝がんに移行する脂肪肝はお酒好きの病気のイメージがありましたが、いまはお酒を飲まない人の脅威にもなっているのです」

 問題は、NAFLからNASHに移行するケースも少なくなく、自分がNAFLなのか、NASHなのかを明確に知るのが難しいことだ。

「しかも、NAFLやNASHは必ずしも肥満や生活習慣に問題がある人だけがなるわけではありません。実際、日本ではこれらの病態の総称であるNAFLDの約2割は肥満でないとの推計があります。また、日本人は肝臓の細胞の中で脂肪の分解に大きな影響を持つPNPLA3と呼ばれる遺伝子の働きが弱い人が欧米人よりも3割多い。そのことが欧米人に比べて日本人に肝硬変や肝がんが多くなる理由のひとつだと考えられています」

■肝臓の線維化の進行を評価

 ただでさえNAFLとNASHの区別がつきにくく、肥満がNAFLDの目安にならないとしたら、私たちは肝硬変や肝がんリスクをどんな方法で知ればいいのか?

「近年、注目されている指標が『FIB-4 index』です。肝硬変や肝臓がんに結びつく肝臓の線維化の進行具合を評価するものです。肝機能を調べるための血液検査項目であるASTとALT、血小板の数値、年齢の4項目の数値を利用して計算します」

 数値は「FIB-4 index=〈年齢×AST〉÷〈血小板数×√ALT〉」の式に当てはめて計算する。求められた数値が①1.3以下なら肝臓の線維化の進行リスクは低く経過観察②1.3~2.67は線維化が進行している可能性があり念のため病院で検査③2.67より大きければ4~8割が肝硬変、もしくは肝硬変に近い状態まで進行している可能性、ということになる。

「ただし、これは肝臓の線維化の重症度を評価するためのツールではあるものの、診断ツールではありません。ですからこのツールで③だったとしても、病気であるとは診断できません。他の検査と合わせることで自分自身の肝臓の現在の状態を知ることが大切なのです」

 NAFLであれNASHであれ、治療法は同じ。肥満の人はまず体重を5~10%減量すること。

「そのためには間食を減らし、定時によく噛んで15分以上かけて食事をして、過度に糖質を取りすぎないことが大切です。もちろん適切な運動も必要です」

 元気で長生きするには、沈黙の臓器といわれる肝臓の悲鳴に耳を傾けることが必要だ。あなたも直近の健康診断の数値などを使ってFIB-4 indexを調べてみてはどうだろう。

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