だからあなたの頭痛は治らない

片頭痛は生活習慣の見直しでつらさをかなり軽減できる

写真はイメージ
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総集編(前編)

 昨年の4月からスタートした本連載。2回に分けて総集編をお届けし、連載を終わりにしたいと思います。

 慢性的な頭痛には、緊張型頭痛、片頭痛、群発型頭痛があります。この中でも患者数が多く、みなさんが対処法に困っているのが片頭痛。私が強調したいのは、片頭痛は生活習慣の見直しでつらさをかなり軽減できるということです。

 片頭痛を抱えている人は、脳が過敏な状態に陥りやすい。そのため、人が気にならないようなささいな刺激をも敏感に感じ取ってしまい、危険信号としての頭痛を誘発するのです。

 日々の暮らしの中で特に気をつけていただきたいのが、「におい、光、音」。たとえば、香り成分が入っている洗剤や柔軟剤を過度に使っていませんか? 一般的には“いい香り”であっても、片頭痛持ちには、頭痛の誘発因子となり得るので、なるべく無香のものを選びましょう。

 人混みや満員電車の中は、人々の整髪剤や香水、衣類についた食べ物のにおいなどが入り交じり、まさに片頭痛を起こしやすい環境。適切にマスクで防御しましょう。

 デパートなどの化粧品売り場も、用がなければ近寄らないようにする方が無難です。

 映画館は、最新の設備を備えているところほど強い光と大音量を兼ね備えているので、片頭痛を起こしやすい。片頭痛を起こしそうな予感がある時には行かないようにする。空腹時は、何かを口に入れてから。というのも、空腹で血糖値が下がると血管が緩んで血管周囲の三叉神経を刺激する。それが片頭痛を引き起こすからです。

 強い日差しに対しては、サングラスで対策を。外出時やスポーツ時はもとより、洗濯物を干す時も思っている以上に強い光を浴びています。花火大会や音楽フェスは大きな音と強い光、加えて人混みのにおいがありますので、片頭痛を悪化させないよう、十分に対策を講じて出かけてください。

 片頭痛があれば、まずは頭痛外来で診てもらうことがベスト。しかし、やむを得ない理由で市販薬を服用している人もいらっしゃるでしょう。その際、薬を服用するタイミングが非常に重要です。片頭痛には、「これから頭痛が起こる」サインが大抵あります。よくあるのは、生あくび、異常な肩や首の凝り、体がむくんだ感じなど。サインを感じたら、なるべく早期に薬を飲む。片頭痛ではひどくなると吐き気を伴うこともあるので、痛みが出てから薬を飲むと吐いてしまう可能性もあるのです。

清水俊彦

清水俊彦

東京女子医大脳神経外科客員教授。「汐留シティセンターセントラルクリニック」の頭痛外来には全国から患者が訪れる。

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