白内障手術失敗体験談(3)15分の予定が60分たっても終わらず…

写真はイメージ
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 初診日から20日経過した9月26日手術当日。午前9時半までに病院に入って簡単な検査を済ませ、2階の個室で手術開始予定の13時まで静かに待ちました。緊張しているのか何回もトイレに行き、予定より30分ほど過ぎて手術が始まりました。この日は私のほかにもう1人、白内障の手術を受けることになっていました。

 手術室では顔に白い布をかぶせられ、点眼麻酔と、それから球後麻酔注射を打たれました。一般的に白内障の手術は点眼麻酔だけでやるものですが、この病院では球後麻酔もルーティンとしてやっているとのことです。点眼麻酔だけだとパニックになる患者がいるが、球後麻酔をしておけば安心だとの説明でした。

 水晶体の内部は芯にあたる核と周辺の皮質に分かれ、水晶体嚢という非常に薄い膜に包まれています。手術は濁った水晶体を超音波で砕きながら吸い出す「超音波乳化吸引術」で行われました。濁った水晶体を吸い出し、残った水晶体嚢に眼内レンズを装着して終わる……はずでした。

 ところが、15分もあれば簡単に終わるはずの手術が60分かかっても終わりません。

 局所麻酔なので手術中も会話ができ、医師からは、私のように普段から「前立腺」の薬を飲んでいると瞳孔が縮みやすく、器具で拡張して手術をしたため余計に時間がかかっているとの説明がありました。

 超音波で水晶体を砕いている感触もあり、吸い出そうとしてもなかなか「うまく吸い込めない」という言葉も聞こえます。そして突然、悲劇が起こったのです。

 濁った水晶体を砕いて吸い出そうとしている最中に、誤って水晶体嚢の後面まで吸い取ってしまい破れてしまいました。

 後で知ったのですが、白内障の手術でいちばん多いトラブルはこのように水晶体の後ろの袋を破ってしまう「後嚢破損」というケース。私の場合は袋が破れただけでなく中身の核片が飛び出し、硝子体に飛び散ってしまったのです。

 ちなみに硝子体とは水晶体の後ろに接している無色透明のゼリー状のもので、「眼球の形を保つ」とともに、「入ってくる光を屈折させる」役目を担っています。想像もしていない事態です。

 医師は、いずれにしてもこれ以上手術続行は無理だと判断し、この眼科医院が懇意にしている総合病院へ引き継いでもらうことになったのです。 (つづく)

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