白内障手術失敗体験談(5)「月に数件、同じような患者が運ばれてくる」

翌日に緊急手術...
翌日に緊急手術...(C)iStock

「私には手に負えない」と、白内障手術を途中で放り出した眼科医院は、救急車は呼ばなかったものの、さすがに移送先の大手総合病院の予約はとっていました。右目にガーゼを当てながらタクシーで大手総合病院に到着すると再び眼底検査などがあり、「まず硝子体に散らばった黒い核片をきれいに取り除きます」と言われました。

 それから、「眼内レンズを入れることになりますが、水晶体嚢が使えるようならそちらにレンズを入れますが、もし水晶体嚢が使えないときは強膜固定といって眼球の白目に眼内レンズを直接固定することになります」との説明があり、「もし手術中に出血などの兆候が現れたら手術を途中でやめることもある」とのことでした。

 後にわかったことですが、この大手総合病院は地元でも眼科の評判がいい病院でした。看護師にちらっと聞いたところ、「月に数件、同じような患者が運ばれてくる」といいます。だから「先生に任せておけば、心配しなくて大丈夫」と言われました。

 ここまできたら“まな板のコイ”。病院に駆けつけ、付き添ってくれた前妻は「前期高齢ですけどまだ現役で仕事をしているので、なんとかお願いします」と頭を下げてくれました。

 緊急ということで、翌日の手術になりました。術後の処置が難しいため日帰りというわけにはいかず、1週間ほど入院が必要とのことで手続きをしました。付き添ってもらった前妻が関係書類へサインをしてくれました。私は右目がほとんど使えない状態で、左目だけで文字を読むのがこれほどつらいとは思いませんでした。

 手続きが無事に終了し、この日はいったん帰宅。何も食べる気が起きず、帰るなり布団にもぐり込みました。目がじくじく痛むし、明日の手術のことを考えるとおちおち眠ってもいられません。

「どうして白内障の手術なんて受けたのだろう。受けなきゃよかった。取り返しのつかないことをしたのではないか……」

 鬱々としました。しかし、早く寝ないと明日の手術に差し支えます。疲れていたのでしょうか、いつのまにか眠ってしまいました。

 翌朝、前妻が入院の着替えなどを持って迎えにきてくれました。とにかく取り越し苦労はやめにして、あとは運を天に任せるしかありません。 (つづく)

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