ひどい腰痛も8割治る

様子を見ていたら、ゴルフ翌日に腰に痛みが走り歩行困難に…

腰痛の原因や症例は多岐にわたる
腰痛の原因や症例は多岐にわたる

 腰痛は人類が二足歩行を始めた太古から悩まされてきた歴史のある病気だといわれていますが、その原因や症例は意外に多岐にわたっていることをご存じでしょうか。

 例えば「痛み」にしても、長時間立ったり座ったり同じ姿勢をしている場合なのか、ゴルフのスイングやボールを蹴る動作などの腰をひねった時なのか、普通に前にかがんだ時なのかなど、生活を送る中でどんな体の動きをした時に、どう痛くなるのかによっても腰痛の種類が違ってくるのです。

 ある患者さんの例をご紹介します。その患者さんは60代の男性。ゴルフをしていた時に左太ももに痛みが出たということで、自宅近くの整形外科を受診したところ、脊柱管が狭窄することで神経が圧迫される「脊柱管狭窄症」と診断を受け、局所麻酔薬の注射をしてもらったが改善せず。投薬で様子を見ていたら、ある日ゴルフをしたその翌日に今度は腰に痛みが走り、歩行困難となり当院を受診されました。

 診察でMRIの画像を見たところ、腰椎の下から2番目の椎間板が、凸状に飛び出している状態。つまり、椎間板ヘルニアが確認できましたので、さっそく患部に対してメスを使わない特殊なゲル状のインプラントを注入する、セルゲル法による治療を行いました。

ILC国際腰痛クリニック東京・簑輪忠明院長
ILC国際腰痛クリニック東京・簑輪忠明院長(提供写真)
腰痛を機に「健康寿命」を意識した患者さんも

 治療1週間後はさほど痛みに変化はみられませんでしたが、幸い日にちを重ねるごとに改善されていきました。

「左足のしびれと痛みは多少あるけど、少し良くなった気がします。実際に歩行距離も少し伸びました」と、1カ月ほど経ったあたりから、明るい経過報告を頂けるようになり、3カ月後には3日に1回ゴルフができるまでに、さらに半年後には、ほぼ痛みは感じない程度にまで、回復されました。

 現在は日常生活では問題ないものの、座ったりゴルフをした後に、少し痛くなる。ご自身でも引き続きストレッチや筋肉のバランスを考えてセルフケアするように伝えました。

 この患者さんのように、腰痛になったことを機に、自分の生活習慣を見直し、これまでしてこなかった運動やストレッチをしたり、意識してストレス解消をしたりと、生活を改善し自分の生き方そのものを見つめなおし、自身の「健康寿命」を意識するようになった患者さんもいます。

 これからの医療に求められるものは、健康寿命を延ばし、自分らしくイキイキした人生を送る力だと考えます。そんな健康寿命の要ともいえる「腰」について、これからこの連載を通じいろいろお伝えできればと思います。

(ILC国際腰痛クリニック東京・簑輪忠明院長)

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