時間栄養学と旬の食材

【チヂミユキナ】カルシウムは牛乳並み…βーカロテンとビタミンCが豊富で免疫力アップ

チヂミユキナ
チヂミユキナ(C)日刊ゲンダイ

 「ユキナ(雪菜)」と呼ばれる野菜にはたくさんの種類がありますが、チヂミユキナも雪菜の仲間のひとつです。

 起源は中国野菜の一種であるターサイにあるとされていて、仙台で栽培されているうちに独自の進化を辿り現在の姿となったといわれます。

 寒い冬の気候から身を守るために葉を縮めて成長し、その様子からチヂミユキナと呼ばれるようになりました。ある程度成長したユキナを4℃以下の低温に晒す「寒締め栽培」という方法で栽培するのですが、縮むと同時に糖分も蓄えるため、通常のユキナよりも甘さを感じられる寒い季節ならではの食材です。

 11月から3月までの収穫期において、特に12月から2月にかけての寒冷な季節がチヂミユキナが最もおいしくなるタイミングとされています。古くから仙台市を中心に栽培されてきましたが、近年は全国でも認知度が高まっており、関東圏でも取り扱いしていることも。しっかりと寒さに晒して、十分な「味」と「ちぢれ」を出すため、全国農業協同組合連合会宮城県本部では12月第4週目を出荷の解禁目安としています。まさに旬を味わえる食材と言えるでしょう。

 チヂミユキナには免疫力向上や健康維持に貢献する栄養素が豊富に含まれています。特にβ-カロテンやビタミンCが豊富! これらの成分は免疫力の向上や抗酸化作用を提供します。仙台市のHPでは栄養成分値を掲載していて、なんと、ターサイと比べてタンパク質や鉄は3倍以上、β-カロテン、ビタミンC、食物繊維は約2倍も多く含まれていることがわかっています。

 この豊富な栄養素を逃さないためには、さっと油で炒める調理法がおすすめです。また、カルシウム含有量は100gあたり176mgで、牛乳に匹敵するほど含まれます。カルシウムが体内に蓄積されるのは夕方以降であることがわかっているので、夕食に取り入れることで骨粗鬆症の予防にもつながる可能性があります。

 苦味やクセがないので食べやすく、和洋中、どんな味付けにも合わせられるのも良いですね。旬のチヂミユキナ、めしあがってみてはいかがでしょうか?

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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