科学が証明!ストレス解消法

人間はウソを見抜くことができる生物なのか? 正答率は65%弱

写真はイメージ
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 人間は、ウソを見抜くことができる生き物なのでしょうか? 

 確かに、「口元や頬に頻繁に手を触れる」「手をポケットに入れたり、後ろで組んだり隠そうとする」「まばたきの回数が増える」などのアクションをすると、「ウソをついているのではないか!?」と疑われやすくなるかもしれません。

 しかし、実際にそうしたアクションをしていたとしても、どのくらいの確率で見抜けるのかというと、その正答率は基本的に65%を超えないといわれています。

 たとえば、CIAなどの政府役人は67.5%、保安官は66.7%、臨床心理学者は62.1%、心理学者は57.7%といった結果があるように、人を見る専門家たちでさえ100%ではありません。ウソをついているかついていないかの確率は50%なわけですから、偶然に当てるよりも、少し上回る程度の確率なのです。

 ポール・エクマンという表情と感情についての研究──、顔の表情の微妙な動きから精神状態を分析してきた研究者がいます。彼によれば、人間の怒った顔や悲しい顔などの表情は世界共通で、われわれ日本人も欧米人も、秘境の地で生活している人たちも、「この人は怒っているな」「いまは悲しいんだな」と感情を読み取るシステムに差異はないといいます。

 この事実をもとに、エクマン教授は、ありとあらゆる顔のデータを取り、人の感情を十数種類に分類しました。そして、研究を重ねた結果、100%に近い確率で、ウソを見破れるようになったのだそうです。

 裏を返せば、膨大なデータをもとに、かつ極めて長い時間をかけて研究をしない限り、人のウソを見破れない。一朝一夕でできることではないわけですから、「この人はこういう人だよね」と安易な判断は危険なのです。下手な経験だけでは、人間を見抜けません。

 であれば、私たちがすべきことは、「人を見破る練習」ではなく、「バイアスをかけずに人を見る練習」でしょう。

 確証バイアスという言葉がありますが、人間は自分の思い込みに都合の良い情報だけを見る傾向があります。B型は変わり者だと信じている人が、相手のちょっと変わった言動を見て、「やっぱりB型だね」などと言うのは典型的な確証バイアスです。

 こうしたバイアスにとらわれてしまうほど、正しく人を見ることができず、自分自身にモヤモヤを抱え、生きづらくなってしまいます。 

 自分の先入観や偏見に気付くためには、「思っていたのと違う印象だった。早とちりした自分が悪い」という具合に自己反省(自己認識)を高めること。決めつける前に、複数の情報を収集し、客観的な判断ができる習慣をつくることが欠かせません。

 パッと見の判断で人を判別してしまうと、周りはあなたを「そういうことをする人」だと認識します。臨床心理学者ですら62%ほどの確率でしか人を見抜けないのですから、安易に人を見抜くような真似をするのは控えましょう。

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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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