寒暖差が大きい季節の疲労と不調は正しい「入浴」で解消したい

寒暖差疲労は正しい入浴で解消
寒暖差疲労は正しい入浴で解消(C)iStock

 汗ばむくらいのポカポカ陽気が続いたかと思ったら、急に冷え込んで冬に逆戻り……。そんな寒暖差が大きい日々が続くと、強い疲労をはじめさまざまな体調不良が現れる。そんな寒暖差疲労は正しい入浴で解消したい。東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身氏に聞いた。

 恒温動物である人間は、生命を維持するために体温を一定に保っている。気温が高い時は血管を広げて血流を増やして放熱し、寒くなると血管を収縮させて血流を減らし保温する。こうした働きはすべて自律神経がコントロールしている。そのため、大きな寒暖差が繰り返される環境では、自律神経がフル回転を強いられて疲れ果ててしまうのだ。

「自律神経が疲弊し、交感神経と副交感神経のバランスが崩れると、慢性疲労をはじめ、胃腸の不調、便秘や下痢、食欲不振、頭痛、めまい、抑うつ、不眠、動悸など、心身のさまざまな不調を引き起こします。寒暖差が大きい季節は、自律神経をしっかり休ませて、疲労を回復する対策が必要です」

 そのために効果的なのが「入浴」だ。湯船につかって体を温めると、手や足の末梢血管をはじめ全身の血管が拡張して血行が促され、自律神経の負担が軽減される。さらに、体内の疲労物質や老廃物が流れやすくなるうえ、精神的なストレスを軽減するリラックス効果も疲労回復につながる。

「自律神経にとっては、血流を安定させることが一番大変な仕事です。ですから、入浴で血行を良くすると疲労回復効果があるのです。しかし、43度以上の熱い湯に肩までつかると、体温、心拍、血圧が大きく変動するので、自律神経に大きな負担がかかって逆効果です。自律神経の負荷をなるべく少なくするには、お湯の温度は38~40度が理想です」

 また、長時間湯船に入っていると、血圧が大きく変動して自律神経に負荷がかかる。つかるのは、肩までなら38~40度のお湯に5分程度にする。入浴の目的は血行を良くして疲労を回復することで、そのためにはこの時間で十分だという。

「さらに、肩深くお湯につかると心臓に負担がかかるので、心臓位置までの高さの『半身浴』が理想的です。われわれの研究では、全身浴よりも半身浴のほうが疲労の度合いが少ないことが分かっています。半身浴なら、入浴時間は10分程度が望ましいといえます」

 しっかり実践して、寒暖差の大きな季節を乗り切りたい。

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