病気と共に生きていく

3カ月目でようやく病名判明…歩けないところまで悪化していた

三尾希さん
三尾希さん(提供写真)
三尾希さん(29歳)=全身性エリテマトーデス

 高熱、関節痛、皮膚の紅斑、視覚異常……。脳梗塞の疑いがあると指摘され、しかし、MRIでは原因がわからず、1人暮らしの自宅に帰宅しました。しかしこのまま死んでしまうのではとパニックを起こし、朝を待って自分で救急車を呼びました。

 救急搬送された病院で、私の様子を見て看護師さんが何か大きな病気かも、と察してくれたようです。精密な検査をしてくれ、膠原(こうげん)病の疑いがありとなりました。後にわかったのですが、このとき全身性エリテマトーデスによる意識障害が起こっていたらしく……。自分でも記憶があいまいです。

 1週間の検査入院で、膠原病の一種である全身性エリテマトーデスと判明。最初に不調を感じてから、すでに3カ月が経っていました。

 膠原病、ましてや全身性エリテマトーデスに関する知識はまったくありませんでした。ただ、難病と言われ、もう治らないんだと、すごくショックを受けました。そのときに入院していた滋賀の病院には膠原病内科がなかったので、専門医がいる京大病院へと転院。私の実家は神奈川県で、親が飛んできました。

 それまで電話では体調が悪いことを伝えていたけど、まさかこんなふうになっているとは親も想像していなかったと思います。自力歩行ができず車椅子でしたから。親だけじゃない。私だってそうです。病気についての連絡も、私がうまく話せない状況で、看護師さんに代わって話してもらったくらいでした。

 全身性エリテマトーデスでは、認知障害や幻覚・妄想などの意識障害が起こることがあります。そのときの私がまさにそうで、夢と現実がごっちゃになり、発言は支離滅裂。仕事で尊敬していた人が倒れる夢を見て早朝に電話をかけてしまうこともあり、親に携帯電話を取り上げられました。入院して3、4日は意識障害が続いたんじゃないでしょうか。

 全身性エリテマトーデスの治療(ステロイドの大量投与など)で少しずつ良くなるものの、入院中、社会とは断絶されている感がすごくしんどかった。

 病名が判明した時点で会社には休職届を出していたんですが、こんな難病になってしまい、いろんな人に面倒を見てもらわないと今後は生きていけないんだろう、社会復帰はもうできないだろうと、絶望的な気持ちでした。

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■全身性エリテマトーデス

 免疫系の異常で本来、体を守る免疫系が自分自身を攻撃し、全身のさまざまな臓器に炎症や障害を起こす。症状は多彩で、よく見られるものとしては発熱、全身倦怠感、関節痛、皮疹、光線過敏症、脱毛、口内炎。顔面に出現する蝶々の形をした皮疹(蝶型紅斑)も多い。

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