花粉症専門医に聞く(2)薬を飲むと眠くて仕事にならない…対策は?

第2世代抗ヒスタミン剤は眠気がほとんどない
第2世代抗ヒスタミン剤は眠気がほとんどない

 もし花粉症の薬で眠くなるのなら、昔の世代の薬を飲んでいる可能性が高い。花粉症治療に長けている耳鼻咽喉科を受診し、別の薬に替えてもらうことを強くお勧めします。

 現在主流になっているのは第2世代といわれる抗ヒスタミン剤です。薬効成分が脳にほとんどいかないため、眠気がほぼありません。一方、第1世代といわれる古いタイプの抗ヒスタミン薬は薬効成分が脳にいくので眠気やだるさが生じやすい。

 第2世代の抗ヒスタミン薬を飲んでいるが眠気があるという場合、医師にそれを伝えてください。薬の種類が複数あり、薬を替えると眠気が生じなくなることは珍しくありません。

 眠い理由が花粉症の薬にないケースもあります。たとえば夜、鼻詰まりがひどくて眠りの質が悪くなっていませんか?

 花粉に対する反応は、吸い込んでから数分から数十分に起こる即時相反応と、6~10時間くらい後になって起こる遅発相反応があります。粘膜の腫れは遅発相反応で起こるので夜間に鼻詰まりが起こりやすい。それによって苦しくて眠りが浅くなっているのであれば、鼻詰まりによく効く花粉症の薬を服用することで問題解決となります。

 鼻詰まりには抗ロイコトリエンという薬がよく効きます。それだけで鼻詰まりが改善しなければ、鼻噴霧用ステロイドを追加するという手もあります。

「ステロイド」という言葉に「副作用が怖いから嫌」と過剰反応を示す方もいます。しかし、局所に使用するのみで、使用期間も限定的ですから、規定通りの使い方をしているなら副作用の心配は無用です。

 鼻噴霧用ステロイドは処方薬ですが、市販薬でも鼻炎スプレーがあります。こちらも、当然ながら説明書にある使用方法を守ってください。

 市販薬ということで軽く見てしまうのか、説明書を無視して何度も使いすぎてしまう人がいます。市販の点鼻薬には血管収縮剤が入っているものが多く、繰り返し使って何度も粘膜の血管を収縮させていると粘膜が炎症を起こして腫れ、かえって鼻詰まりがひどくなることも。これを薬剤性鼻炎といいます。

 思い当たる節がある人は、早めに耳鼻咽喉科で相談を。(つづく)

▽大久保公裕(おおくぼきみひろ) 日本医科大学大学院医学研究科頭頚部感覚器科学分野教授。奥田記念花粉症学等学術顕彰財団理事長。NPO花粉症・鼻副鼻腔炎治療推進会理事長。

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