病気と共に生きていく

闘病ではなく、共存…病気は憎む相手ではなく一緒に生きていく伴侶

薬のパックを細かく切って貼り合わせた作品(提供写真)
薬のパックを細かく切って貼り合わせた作品(提供写真)
三尾希さん(29歳)=全身性エリテマトーデス

 通院のたびに受け取る袋いっぱいの薬。いつもは飲んだ後、薬のケース、ブリスターパックを捨ててしまうのですが、日々見ていると、キラキラして、いろんな種類の色があって、すてきだな、と思ったんです。

 薬は時に副作用ももたらすけれども、私が生き生きと活動できるのは、医療の進歩と支えてくれる周囲の方々のおかげ。ブリスターパックが放つキラキラした良さをポジティブに生かせないかと考えた時、宝石とリンクしたんです。ブリスターパックを細かく切って貼り合わせ、ジュエリーのようにしたのが写真の作品。「輝き」のほかに「生き生きした」という表現にも使われる「sparkle」という作品名をつけました。

 全身性エリテマトーデスと告げられ、社会復帰はもうできないと絶望的な気持ちになっていた私に、当時の上長がすごく親身に対応してくれました。「人材としてあなたを待っている」ということを、言葉と態度で示してくれたのです。「こういう病気になっても『先』があるんだ」と思え、本当にうれしかった。体が回復してきたのもあったのでしょう。退院前は「時間が長くて暇だな」と感じられるほど元気になっていました。

 2020年2月末に退院し、自宅療養を経て、6月に復職。当初は関東の実家でテレワークで働いていました。9月に異動で、部署の所在地が関西から東京へ。テレワークを中心としつつ、少しずつ出社比率を上げ、基礎体力をつけていきました。21年2月からは会社に通いやすい地域へ引っ越し、1人暮らしを再開。今は出社とテレワーク両方の働き方を選択しています。 

 同じ会社に、病気は違うけれど難病の方がいて、その方の「闘病ではなく共存なんだよ」という言葉にストンと納得できたんです。病気は闘う相手でも憎む相手でもない。一緒に生きる伴侶。だるいからイヤイヤとなったら、そうだね休もうね。自分の体なんだからね。

 だから、仕事でもプライベートでも、できる・できないを見極め、体力のキャパシティーを超えないようにしています。楽しい時って、アドレナリンが出ているので疲れていることに気づかなくて、後で「あ……」となってしまう。精神面と体力面を上手に調整できるよう注意しています。

 良くも悪くも見た目にはわからない病気。前がすごく元気でパワフルだったので、時に周囲にも病気だってことを忘れられてしまうんですね。できる・できないは、周囲にも具体的に伝えるようにしています。

◆全身性エリテマトーデス 免疫系の異常で本来、体を守る免疫系が自分自身を攻撃し、全身のさまざまな臓器に炎症や障害を起こす。症状は多彩で、よく見られるものとしては発熱、全身倦怠感、関節痛、皮疹、光線過敏症、脱毛、口内炎。顔面に出現するチョウの形をした皮疹(蝶型紅斑)も多い。遺伝性の病気ではない。

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