勃起力のカギだった「線維芽細胞」の働き…鍛えれば増やせる

写真はイメージ
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 最近、あっちのほうが……と悩んでいる男性には朗報なのではないか。男性器の勃起についてスウェーデンの「カロリンスカ研究所」が、画期的な研究結果を発表した。カロリンスカ研究所は世界でもトップクラスの医科大学。ノーベル医学生理学賞の選考もここで行われている。

 雑誌「サイエンス」に研究内容の詳細を発表し、研究所のホームページに概略を載せている。論文は「ペニスの線維芽細胞は、これまで考えられていた以上に勃起機能にとって重要であることが判明した」というもの。

 勃起は海綿体に血液が流れ込むことで起こる。海綿体はスポンジ状の柔らかな組織。血流が多いほど勃起力も高まるというわけだ。ペニスに存在する「線維芽細胞」には、血流を促す働きがあることがわかったという。

 マウスの実験によって、線維芽細胞には血管を拡張させる働きがあり、それが勃起につながっているという。この細胞の数が多ければ多いほど血管の拡張が促進されるそうだ。線維芽細胞が筋肉を弛緩させ、海綿体へ向かう血流を増やしているという。若いマウスのほうが線維芽細胞が多く、高齢のマウスは線維芽細胞が少ないこともわかった。年をとると勃起力が衰えるのも、この細胞の減少が原因らしい。

 注目なのは、勃起力を高めるこの線維芽細胞は、増やすことが可能だということだ。マウス実験によると、勃起すればするほど線維芽細胞が増え、逆に、定期的に勃起させないと勃起力も衰えるという。

 研究グループのクリスチャン・ゲーリック主任研究者はこう語っている。

「勃起の頻度が増加すると、勃起を可能にする線維芽細胞が増えます。逆も同様で、勃起の頻度が減少すると、線維芽細胞が減ってしまうことがわかりました」

 使わないと衰えるのは、ペニスも筋肉と同様ということらしい。

 また、線維芽細胞には、勃起にブレーキをかける因子「ノルアドレナリン」を吸収する仕組みもあるという。

■新タイプのED薬の開発につながる

 東邦大医学部の小林秀行准教授(泌尿器科)に、この論文と勃起力維持について聞いた。

「ペニスに線維芽細胞があることは分かっていましたが、画期的なのは、勃起機能に関係していると発見したことです」

 論文は、勃起するほど線維芽細胞が増えるとしている。性欲がなくても、無理にでも勃起させたほうがいいのだろうか。

「リハビリしないと回復が遅れるように、陰茎も使わないと機能が落ちます。性交渉がなくても1週間に1回は勃起させるべきです。血液を充満させることが大切です。血液を充満させることが、線維芽細胞を増やすことにつながっている可能性もあります。勃起力を維持するには、肥満の方はまず減量です。それと運動と禁煙ですね」

 研究結果から、バイアグラとはまったく違うタイプのED薬の開発も期待されている。朗報である。

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