30歳以上に増加中 「大人ニキビ」は内臓トラブルの前兆

 30代半ばだというのに、顎や頬にポツリ……。2つ3つとできる人もいれば、40代でできる人もいる。見た目は思春期のそれとほぼ同じ。「大人ニキビ(アダルトニキビ)」だ。近頃、これに悩む人が増えている。何が原因なのか。専門家に話を聞いた。

「アダルトニキビの原因は思春期のそれとは異なります。そのため、皮膚科に何年通っても治らないと悩む人は多いですね」

 こう言うのは、東京・町田の美容サロン「美肌ネットまちだ美顔」の河合秀治さん。薬局が経営しており、一般的な皮膚科では手に負えない頑固なアダルトニキビのケアに定評がある。近ごろは美意識の高まりのせいか男性の来院者も増加中だ。

「思春期のニキビはホルモンバランスの変化による皮脂の分泌過剰が主な原因。従って、顔の中でも特に皮脂腺が多い、おでこから鼻にかけてのTゾーンにできることが多いんです。一方、アダルトニキビの特徴は、頬や顎といったフェースライン、首筋などにできやすいのが特徴。つまり、皮脂以外に原因があるからです」

■思春期は皮脂の分泌過剰が原因だが…

 その原因とは、ズバリ「内臓」だ。特に胃腸の弱い人に、多く見られるという。

「詳しく問診すると、大体の人が、食生活の乱れや寝不足、睡眠不足、ストレスなどで胃腸が弱っているケースが多い。胃腸が弱ると皮膚の働きが落ちて、細菌による肌の炎症・化膿(かのう)であるニキビができやすくなります。思春期のニキビは成長してホルモンバランスが整えば自然と治りますが、アダルトニキビは体の中の根本的な原因を改善しないと治らないので、タチが悪いんです」

 思春期にニキビと無縁だった人が、大人になって突然、アダルトニキビに悩まされる場合もある。30歳を過ぎてTゾーン以外の場所にニキビができたら、要注意だ。

「アダルトニキビができる場所によって、体のどこが悪いか、大体分かります」

 こう言うのは、東京薬科大学付属社会医療研究所の猪越恭也教授。東洋医学において、血管の多い顔は内臓を映す鏡といわれ、内臓系の経絡も顔の表面に幾つもある。

「特に出やすいのは頬ですね。ここには、胃と小腸につながる経絡があります。頬にニキビができたら、胃や小腸に何らかの不調があると考えていいでしょう」

 他にも、「目の周り・こめかみ」のニキビは肝臓に何らかのトラブルがあるサイン。「小鼻」は呼吸器系や大腸につながっているので、肺や大腸系の病気の疑いがある。

「口の周り」は胃腸と密接に関係がある。暴飲暴食をすると、翌日このあたりに吹き出物が出る人がいるが、これもアダルトニキビの一種だ。

「ニキビはアクネ菌による感染症。大人の場合は、皮膚の抵抗力が落ちていることが原因ですから、他の感染症にもかかる可能性が高い。アクネ菌のエサである皮脂が十分にあるということは、生活習慣病のリスクも高い証拠です」

 ニキビだなんて俺もまだ若い……などと笑ってる場合じゃないのだ。

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