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NYで注目 手書き処方箋「デジタル化」でヘロイン死減少も

 3月27日以降、ニューヨークの処方箋に大きな変化が見られます。手書きの処方箋が廃止され、すべてがデジタル化されたのです。この変更により、アメリカ人の健康を脅かしている「処方薬依存症」がなくなるかもしれません。

 処方薬依存症の“処方薬”とは、「オキシコドン」「ヒドロコドン」などのオピオイド系の薬です。アヘンに含まれる成分から合成される半合成麻薬で、強い鎮痛作用があり、手術後の鎮痛用などに処方されます。

 しかし、この薬からへロイン依存症になったり、過量摂取で亡くなる例が後を絶たないのです。

 ニューヨーク州でのオピオイド系鎮痛剤による死亡数は、2013年の1年間で約1200件。2004年以降、4倍の数字になっています。

 原因のひとつが「処方箋」そのものと考えられています。手書きの処方箋なら、簡単に書き直したり捏造したりできるからです。処方箋の管理を厳しくすることは、その取り締まりの大きな第一歩と考えられています。

 処方箋がデジタル化されると、指定された薬局でしか薬を受け取ることができなくなります。そのためデジタル化に反対する人もいますが、「処方箋が出た段階で薬局に通知され、待ち時間が大幅に短くなる」とも伝えられていて、その効果が期待されています。

 また、CDC(アメリカ疾病予防センター)は、「オピオイド系の薬を使う時は通常の鎮痛薬が効かない場合に限る」「投与は通常3日、最長で7日」などと勧告しています。

▽シェリーめぐみ ジャーナリスト、テレビ・ラジオディレクター。横浜育ち。早稲田大学政経学部卒業後、1991年からニューヨーク在住。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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