クスリと正しく付き合う

飲むタイミングによって副作用が出やすくなる薬がある

写真はイメージ
写真はイメージ(提供写真)

 薬の副作用が表れる原因のひとつに「用量」が挙げられます。たくさん使いすぎ(飲みすぎ)てしまうと副作用が出るということです。逆に少なければ効かないわけですから、「決められた量=用量」を適切に使う必要があるというのは言うまでもありません。

 用量と同じくらい大切なのが「用法」です。毎食後や寝る前、中には食直前や食直後といった「いつ使うか」「1日何回使うか」を示したものが用法に当たります。こちらも、きちんと守る必要があります。用法を守らないことで副作用が起こってしまう薬もあるからです。

 その代表例として「ステロイド薬」が挙げられます。ステロイドの内服や注射は、基本的には「朝」に使います(塗り薬は別です)。ステロイドはもともと、コルチゾールという成分として体内に存在しています。コルチゾールの体内の量は朝に多く、夜には少なくなります。日内変動があるのです。コルチゾールは睡眠の妨げになるため、夜は自然に体内の量が少なくなり、眠りやすくしているわけです。

 そのため、コルチゾールと同様の働きをするステロイド薬を夜に飲んでしまうと、目がさえて不眠になる=不眠の副作用が出る可能性があります。ステロイド薬が「1日2回、朝・昼」で処方されていたとしても間違いではなく、「不眠防止」という意図があってのことです。心配はいりません。逆に「夜」も飲むようになっている場合は、一度、医師または薬剤師に確認した方がよいでしょう。

 うっかり昼間に飲み忘れてしまい、夜に一度飲むくらいは問題にはなりません。また、仕事の都合などで昼夜が逆転している方は、生活に合わせた用法設定が必要になることも付け加えたいポイントです。

 用量だけでなく、用法にも注意して正しく薬を使うことで防げる副作用もあるのです。

神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

関連記事