年をとったら「太る」を目指す

椅子からのスクワットはフレイル対策に最適な運動

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 高齢で食べる量が少なく、運動もあまりしないでいると、サルコペニアや骨粗しょう症を起こしやすくなります。サルコペニアで動かなくなると一層、骨粗しょう症やサルコペニアが進むという悪循環に陥ります。

 若い時は生活習慣病対策として、高齢になってからはサルコペニア・骨粗しょう症対策として、ぜひ運動を日常的にしていただきたいです。

 では、サルコペニア・骨粗しょう症対策の運動として何がよいでしょうか? たとえば、最近はあまり見かけませんが、ゲートボールは高齢者にとって筋肉維持に役立つ運動です。外でやるので日光を浴びることもいいです。

 日光は骨を丈夫にするビタミンDの生成を促し、骨粗しょう症対策にもなります。さらに最近、「血中ビタミンD濃度が高いと、がんリスクが男女ともに20%低下する」という研究結果が発表されています。

 もっといいのは、椅子からのスクワットです。下肢は筋肉量が多いので、ここを鍛えれば効率よく筋肉量を増やすことができます。外来でも患者さんにお勧めしています。

 回数は、体重や体力、筋力によって個人差があるので一概に言えませんが、最初は10回程度を目安にします。勢いをつけて速いスピードでやると筋肉がつきにくいので、ゆっくり行うことがポイントです。1回につき立つのも座るのも3~5秒かけてやります。10回やってみて楽にできれば、朝夕にやるなど、回数を増やすといいでしょう。

 椅子からのスクワットでは、爪先と曲げた時の膝が同じ方向を向くようにしてください。

 また、膝を曲げた時、爪先より膝が前に出ると膝を痛めやすくなるので注意してください。

若林秀隆

若林秀隆

リハ栄養、サルコペニア、摂食嚥下障害を特に専門とする。日本リハビリテーション医学会指導医・専門医。

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