子作り治療 最前線

妊娠しやすい「体格」は? やせすぎは時間が4倍かかる

やせすぎは4倍時間がかかる
やせすぎは4倍時間がかかる(C)日刊ゲンダイ

 妊娠のしやすさを大きく左右するのは加齢だが、ライフスタイルも影響する。女性不妊になりやすい生活上のリスクには、どんなものがあるのか。「大宮レディスクリニック」(埼玉県)の宮田あかね医師(生殖医療専門医)が言う。

「不妊に悩む女性の約1割は、肥満またはやせすぎが原因といわれています。ホルモンバランスがくずれて、月経の周期が狂ったり、排卵障害を起こしたりするからです。最も妊娠しやすい体格は『BMI20~24』。子作りを始めるには、まず適正体重に近づけることが大切です」

 BMIは肥満度を表す体格指数で、体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割って算出する。BMI20~24といえば、身長160センチの女性であれば「体重51~61キロ」の範囲になる。BMI18.5未満はやせすぎ、BMI25以上から肥満とされる。

 肥満・やせの不妊のリスクは、統計的にはBMIが適正「22」の女性に比べてBMI「35」の肥満だと妊娠までの期間が2倍、BMI「19」のやせだと妊娠までの期間が4倍かかるとされているという。

「体重管理で基本となるのは、当然ながら食事内容と運動習慣の見直しです。食事ですすめられるのは、イタリアンなどの地中海式食事です。それに主食はGI値(血糖値が上昇する値)が低いものに代替するのがいい。たとえば白米なら玄米に、白パンなら全粒粉パンにするといった感じです。運動習慣は、30分以上の有酸素運動を週2~3日は行う」

 地中海式食事とは、たとえば脂質の摂取にはオリーブオイルやナッツ類を取り入れて、マーガリンやショートニングなどのトランス脂肪酸を含む食品はやめる。タンパク質の摂取は、魚や卵、豆類などが中心。野菜はトマト、ニンジン、カボチャ、ブルーベリーなどの虹7色野菜を意識して食べるといいという。これらの生活改善で、モチベーションの高い女性だと3カ月で排卵しやすくなるという。

 では、嗜好品の習慣はどうか。最も悪いのはたばこ。喫煙は不妊症の確率を1.6倍に高めるとされるが、妊活には夫婦そろっての禁煙が鉄則だ。

「飲酒は1日にビール1缶(500ミリリットル)やワインをグラス1.5杯くらいならリスクになりません。しかし、その倍以上の量を毎日飲むと不妊率が1.6倍になるというデータがあります」

 意外と影響するのがカフェイン。コーヒーは1日2杯(1杯100ミリグラム)までならOK。1日250ミリグラム以上飲んでいると妊娠率が半減(0.55倍)するとされる。

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