望まぬ妊娠防ぐ緊急避妊薬 日本で普及が遅れる複合事情

“まさか”のことも考えて(C)日刊ゲンダイ

 強制わいせつ事件が増えるのは、肌を露出する女性が目立つ夏だが、その裁判は秋から冬にかけて多くなる。そんな被害女性ばかりではないが、2016年度の中絶件数は約16万8000件と少なくない。出生数の6分の1だ。昨年12月には、自宅の畑に生まれたばかりの赤ちゃんを埋めた疑いで両親とみられる男女が逮捕される事件も起きている。

 そこで、ふと思う。なぜ緊急避妊薬が使われないのか――。医薬情報研究所「エス・アイ・シー」医薬情報部門責任者で、薬剤師の堀美智子氏が言う。

「緊急避妊薬は、性交から72時間以内に服用すれば、妊娠を免れる薬剤です。避妊効果は、性交からなるべく早く服用するほど高い。望まない妊娠を防ぐにはとても有効な薬剤で、欧米では市販薬として薬局で買うことができます。ところが、日本は処方薬のため、婦人科などを受診しないと処方されません。処方薬であるがゆえ、薬の認知度がそもそも低い。薬にアクセスできたとしても、自由診療で東京の場合1万5000円ほど。欧米の4~5倍と高い。そんな事情が重なって、緊急避妊薬があまり使われていないのです」

1 / 2 ページ

関連記事