抗がん剤治療は怖い……というのが一般的なイメージではないでしょうか。その裏には副作用に対する「不安」もあるのではないかと思います。イメージだけが先行して正しい理解をしていないことからくる「知らないことへの不安」を減らす。これが、抗がん剤治療への恐怖心をなくすことにつながります。
イメージとは異なり、髪が抜けるとか、激しい吐き気があるといった激しい副作用がない抗がん剤もたくさんあります。ただ、それ以外の副作用で悩む場合もあります。「味覚障害」は、抗がん剤の代表的な副作用のひとつとして知られています。ただ、「激しい」イメージはないため、多くの人はあまり印象にないのではないでしょうか。
味覚障害は、抗がん剤によって、舌にある味を感知する細胞(味細胞)が破壊されたり、血液中の亜鉛が少なくなるなどさまざまな原因によって起こります。原因となっている薬をやめれば徐々に回復していきますが、「激しくない」「回復する」からといって侮ってはいけません。
味覚障害や味覚異常によって食欲がなくなって食べられなくなり、体力がなくなったり栄養状態が悪くなったりして全身状態が悪化してしまうケースがよくあるのです。 そもそも人間は「がんそのもの」で死ぬことはありません。多くの場合、がんによる臓器不全か、栄養状態の悪化で亡くなります。つまり、がんに打ち勝つためには、栄養状態を良好に保つことが重要なのです。
そのためには、まず食べなくてはなりません。そして、食べるためには味覚を保つことが大切です。薬を始めてから味が分かりづらくなった、普段と違うように感じるという場合は、すぐに医師か薬剤師に相談してください。
味覚異常の原因となる「低亜鉛」を予防するためには、貝類、小麦、大豆の胚芽を積極的に摂取するのもおすすめです。
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