ストレスによる歯のトラブル

虫歯や歯周病でなくても歯は痛む ストレスは原因のひとつ

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 歯が痛いからといって虫歯や歯周病が原因だと思ったら大間違いだ。歯とは無縁の部位からの関連痛による「非歯原性歯痛」もある。

 その痛みはストレスなど別の原因であって、歯髄を取っても、歯を抜いても治らないことがある。要注意だ。

 自由診療歯科医師で「八重洲歯科クリニック」(東京・京橋)の木村陽介院長が言う。

「まれに心筋梗塞や狭心症の放散痛もありますが、非歯原性歯痛の半数以上は“筋・筋膜性歯痛”です。食いしばりや肩こりなどの慢性的な筋肉痛が原因なのですが、患者さんによっては、原因不明のまま検査と治療を繰り返し、悪くもない歯の神経を取ったり、歯を抜いたりするケースも珍しいことではありません。それでも痛みが治まらず当院を受診する患者さんもおられます」

 筋・筋膜性歯痛の人は、奥歯周辺の筋肉の中にトリガーポイントと呼ばれるしこりがあり、そこを押されると強い痛みを感じる。

 その原因のひとつがストレス。同じ姿勢で長時間デスクワークしたり、新しい環境で知らず知らずのうちに緊張して、筋肉がこわばるなどして起きるという。

■顔が痛い人は要注意

「こういう人は無意識に食いしばりをしていて、昼間はもちろん就寝中も行っている場合が多い。そのため、普段から片方の顎や頬の筋肉が硬直しています。そこに精神的なストレスがかかると自律神経が興奮して血管が収縮。血流が滞って痛みが発するのです」

 治療は顎の筋肉を弛緩させる注射などが効果的だという。

 非歯原性歯痛には、ほかにも非定型歯痛や神経障害性歯痛と呼ばれるものがある。

 代表的なのは抜歯やインプラント手術時の神経損傷後、あるいは歯髄を抜くなどの根管治療後に見られる痛みだ。

「手術で手を切断したのに手が痛い、というのと同じで、すでに痛みの原因となる患部の治療は終了しているのに、痛みを感じます。治療は難しいが抗うつ剤などで治療されています」

 同じような症状に神経血管性歯痛と呼ばれる歯痛もある。片頭痛や群発頭痛の人に多く、歯を抜いたにもかかわらず歯痛を訴えるケースが多い。

「頭痛持ちで上顎の奥歯などと一緒に目が痛むという人は疑った方がいいかもしれません。ほかに鼻の横の上顎洞という穴に雑菌がたまる蓄膿症によって引き起こされる上顎洞性歯痛があります」

 いずれもストレスがある人は強く症状が出る場合がある。正しい診断と治療が必要だ。

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