子作り治療 最前線

「タイミング法」を試すなら朝方に愛のあるセックスを

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 女性の月1回の排卵に合わせてセックスをする「タイミング法」。女性が35歳くらいまでであれば、とりあえず半年くらい試してみるといい。しかし、妊娠率を高めるにはコツがある。

 不妊治療専門施設「はらメディカルクリニック」(東京都渋谷区)の原利夫院長が言う。

「自然妊娠を目指して努力することはいいのですが、タイミング法を始めると『子作りのためのセックス』を意識してしまって、かえって性交回数が減ったり、やる気をなくしたりする男性が非常に多い。何より妊娠に一番効果があるのは『愛のあるセックスを楽しむ』ことだということを忘れないでください」

 排卵日の5日前から妊娠のチャンスは訪れるが、それに合わせて月1回セックスをすればいいという考えは間違い。従来の性生活(週2~3回)を楽しみながら継続した上で、さらにタイミング法を加えるという考えを持つことだ。

 タイミング法に合わせて、1カ月間射精をせずに精子をため込んでいた方がいいという考えも間違い。

 精子は出さないでいると劣化する。週2~3回射精していれば、常に新鮮な精子が作られている状態になる。

「女性も定期的にセックスしていた方が、排卵が順調になります。排卵日にこだわり過ぎて神経質になると月経周期が乱れる原因になります。たとえるなら、普段の性生活が『助走』で、タイミング法で『ジャンプ』というイメージです」

「愛のあるセックス」が重要なのも理由がある。きちんと前戯などをするとお互いの興奮度が高まり、ホルモン分泌を促すので精子の進入や受精が容易になる。また、女性は「オルガスムス」を迎えると、精子をより多く取り込もうとして腟の奥が広がるので、妊娠しやすいとされる。セックスの質自体が妊娠率を高めるのだ。

 他にも、男性ホルモンの分泌は明け方が最も多く、性欲も高まるので、セックスをするのは朝の方がいい。それと、人の受精能力は5~10月の期間に高まり、妊娠の成功率が倍になるという報告もあるという。

 しかし、今は共働きの夫婦が多いので、タイミング法も予定通りにいかない場合も少なくない。

 半年やって妊娠しなければ、医療機関で並行して「人工授精」を受けた方がいいという。

「妊娠のチャンスは5日間あるので、今日はタイミング法、明後日は人工授精というように、ひと月の受精のトライを2回に増やすのです。ただし、人工授精の成功率は5~10%程度で、決して高くはありません」

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